初戦で強豪相手に善戦しながらともに黒星を喫したレナウンローバーズとクラブダイノス@BΛNKが、今季初白星をかけて東京ドームで対戦した。
決定力を持つキッカーが不在の両者。お互いに一歩も譲らない熱戦となったが、最後はそのキックが明暗を分けることとなった。
キッカー不在の影響は前半から見て取れた。第2Q、レナウンは自陣30ヤードからのオフェンスを、クラブダイノスのパントリターン時のファンブルも手伝って、先制TDに結びつけることに成功。
一方のクラブダイノス。オフェンスは不振ながらも、LB帆足がパントブロックしたボールをそのままエンドゾーンまで持ちこんで1TDを返す。
しかしながら両者ともTFPキックは失敗。6−6の同点で前半を折り返すこととなった。
前半終了時点では、レナウンに分があるように感じられた。なぜなら、レナウンはQB八木とWR陣のタイミングがいま一つながらも、RB池田らのスピードあるインサイドプレーでドライブを繰り返していたのに対し、クラブダイノスは先発したQB黒川、RB清水とも、プレーに精彩を欠き、ダウン更新がやっと、という状態だったからだ。
それを裏付けるかのように、レナウンは第3Qに入ってわずか3プレーで自陣42ヤードからボールをエンドゾーンへと運んでしまう。しかし、ここでもTFPキックをはずし、12−6。
一方のクラブダイノスは、後半に入ってQBを大塚にスイッチ。QB大塚はリードを奪われたあとの自陣20ヤードからのオフェンスシリーズを、RB清水のダイブを軸としながら、レナウンディフェンス陣の反則にも助けられ、同点のTDを奪うことに成功する。
しかしここでも、やはりTFPキックに失敗して、勝ち越すことはできない。
何とか突き放したいレナウンの返しのシリーズ。自陣35ヤードからのオフェンスで10プレーを費やし敵陣5ヤードまで迫る。
1st、2ndダウンともRB池田にボールを託すが、エンドゾーンまで届かず、3rdダウンではパス失敗に終わってしまう。
ボールオン3ヤード。第4Q。通常であればFGを選択し、手堅く3点と考えるところだが、キッカー不在のチーム状況がそうはさせなかった。
4thダウンギャンブル。QB八木がロールアウトして投じたボールは、WR船越の手に届かずに失敗。虚脱感がレナウンベンチを覆う。
しかし、依然勢いはレナウンにあった。
レナウンは第4Q残り4分を切ったところで、クラブダイノスQB大塚のファンブルから得た敵陣43ヤードからのオフェンスを、QB八木のパス中心にボールを進め、最後はRB池田が7ヤードを走りきってTD。試合残り時間1分14秒。レナウンは遂に突き放すことに成功する。
しかし、3度目のTFPキックをはずしてしまう。そしてこの1点こそが、のちのち両者の明暗を分けることになった。
クラブダイノス最後の攻撃は自陣28ヤードから。TD必須のこの状況のなか、QB大塚はWR吉田、TE太田にパスをヒットさせ、敵陣44ヤードまでボールを進める。
しかしTE太田がフィールド内でタックルされ、時間を止めるために1stダウンはスパイク。残り時間は20秒。そしてクラブダイノスに残されたタイムアウトはわずかに1回限り。ここでQB大塚はタイムアウトを使い切ってしまう。
「セットしてみたら、レナウンのパスカバーが(予想していたものとは)違っていたから」(クラブダイノス・国吉監督)。
一見無謀に見えたタイムアウトのあと、QB大塚が右にスプリントアウトしてエンドゾーン目掛けて投じたボールをWR宇木が見事キャッチしてTD。終了13秒前に同点に追いつく。
そして運命のTFPキック。ここまで両チームともTFPを1度も成功させていないため、東京ドームに異様な緊張感が漂う。しかし、これをキッカーに入った奥村が決め、19−18として試合に決着をつけた。
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