X League
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解説記事
アサヒビール VS 富士通
チーム名 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
アサヒビールシルバースター 0 7 0 0 7
富士通フロンティアーズ 7 0 3 3 13

暮れなずむ等々力に響き渡る“フロンティアスピリッツ”の歓声
 10月14日。EAST全勝対決は、ディフェンスが最後まで集中力を切らさず、アサヒビールシルバースターの怒涛の攻撃を1TDに抑えた富士通フロンティアーズが、13−7で勝利。勝ち点を6と伸ばし、1992年の東日本社会人1部Bブロック優勝以来、8年ぶりのディビジョン優勝に1歩近づいた。

 まさに我慢の勝利と言っていいだろう。毎年、優勝候補に挙げられながら、その期待を裏切り続けた富士通。そんな鬱憤を晴らす勝利に、富士通本店ビルが見守る川崎・等々力硬式野球場に詰めかけた地元ファンは湧いた。
 秋季リーグ戦で、富士通がアサヒビールを破るのは、1990年10月27日(東日本社会人1部B 富 28−19 ア)以来10年ぶり。もちろんXリーグとなってからは、初の快挙。

 試合開始は富士通のキックオフ。これをシルバースターのリターナーがファンブルロスト、最初の攻撃権がいきなり富士通に転がり込む。この絶好のチャンスに、QB木之下からWR佐藤(光)へ30ヤードのTDパスがヒット。K長谷のトライフォーポイントも決まって、試合開始からわずか1分36秒で7−0と富士通が先制する。

 しかし過去2試合の反省から、この試合のために気持ちを入れ直したシルバースターも黙ってはいない。エースRB中村のパワープレーから35ヤードのロングゲインを皮切りに、RB斉藤、新人RB猪狩(関学大)と、スピード溢れるランプレーで一気に前進。
 6回の3rdダウンコンバージョンで5回ダウン更新するなど、この試合に賭ける気迫が、富士通の看板ディフェンスラインを圧倒する。
 エンドが代わった2Q。シルバースターは、QB金岡からWR中尾へのパス、RB中村のパワープレーを軸に、C寺山率いるシルバースターオフェンスラインが真っ向から勝負、締めくくりはFB吉岡がドロープレイから中央を鮮やかに突破。10ヤードを駆抜けてTD。7−7と試合をふりだし戻す。

 富士通は先制こそしたものの、前半のダウン更新はわずか2回。過去2試合、猛威を奮ってきたエースRB森本のゾーンプレーは、シルバースターのゾーン対策から今季初披露の3−4守備に完封され、攻撃の活路を見出せないまま前半を終える。

 停滞ムードを一掃したい富士通、3Q最初のシリーズ。WR小島のリバースで敵陣に入ると、TE大木へのパスやRB森本のゾーンがようやく噛み合い、K長谷が23ヤ−ドFGを成功させ、遂に勝ち越す。
 王者シルバースターも必死の反撃を試みる。3Q終わり頃から4Qに渡り、RB中村、斉藤、猪狩らの14連続ランプレーで、ゴール前5ヤードと押し寄せる。4thダウン1、シルバースターは同点狙いのFGを選択。ここでシルバースターK泉のキックを、富士通が執念のブロック。こぼれたボールを富士通DL西が24ヤードをリターンするビッグプレーで、シルバースターの流れを断ち切る。
 モメンタムを完全に奪い返した富士通は、K長谷が再び43ヤードFGを決め、13−7とさらに点差を広げた。

 残り時間4分45秒、シルバースター陣32ヤード。1TDで逆転を狙えるシルバースターのキャッチアップオフェンスが始まる。このようなシーンで、過去幾度となく数々のドラマの主役を演じてきたQB金岡が臨戦態勢に入る。
 「あの場面はやはり時本につきます」と富士通・奥監督。RB斉藤を背後からロスタックルに仕留めたあとの3rdダウンロング。鋭いブリッツからQB金岡に息の根を止めるQBサック一閃。富士通の“守護神”LB時本が“日本のエースQB”金岡をドラマの主役から引きずりおろした瞬間だ。

 そのまま富士通が逃げ切って、前節のオンワード戦に引き続きビッグゲームをものにし、無傷の3連勝。値千金の勝利だった。

 「システムで勝っていたわけではない、むしろ負けていたかも。だけどこの1年間、このゲームを目指し、勝ちたいというみんなの気持ちが結果に繋がった」と目を細める奥監督。「このようなこと(3連勝でディビジョン単独首位)がなかっただけに、足下をすくわれないよう引き締め直したい」と、いよいよ見えてきたファイナル進出に向け、照準を新たに絞りなおす。



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