ともに富士通に黒星を喫し、3勝1敗で迎えた今世紀最後のリーグ戦。アサヒビールシルバースターとオンワードオークスの試合が、11月7日東京ドームで行われた。
勝った方がファイナル6進出というサバイバルゲームは、ディフェンス陣の活躍で得点を重ねたアサヒビールが27−6とオンワードを突き放し、「なんとか最後に間に合った」(アサヒビール・阿部監督)とプレーオフ出場の6チーム中、最後に出場権を手にした。
前半は、互いに攻め手を欠く重苦しい展開となった。
アサヒビールが試合開始直後のシリーズこそ、RB中村のリズム感溢れるランプレーを軸に79ヤードをドライブし、先制のTDをものにする。
対するオンワードも途中自らの反則などで、度々訪れたピンチをスペシャルプレーなどを交えながらドライブを繋ぎ、第1Qから第2Qにかけて、実に7分30秒をかけたロングドライブをTDに結びつける(TFPは失敗)。
結局はその後、アサヒビールがFGの3点を追加し、10−6とアサヒビールが、僅か3点のリードで前半を終了する。
後半に入ってもその雰囲気に大きな変化は見られなかった。
後半最初のシリーズでは、アサヒビールが自陣25ヤードからのオフェンスを、やはりRB中村を中心にドライブ。敵陣25ヤードまで攻めこむがTDまで結びつかずに、結局FGを選択するが、これを失敗。しかしこのFGプレーで、オンワードディフェスに痛恨のパーソナルファウルがあり、アサヒビールは、幸運にも敵陣13ヤードからファーストダウンを獲得。
絶好のチャンスと思われたが、ここはオンワードディフェンス陣の集中力が勝り、結局最後はFGを選択。これを成功させ、13−6とした。
それでもなお1TD以内の差、という状況に変わりはなく、試合は我慢比べの様相を見せるかと思われた。
しかし、その沈痛な雰囲気を破ったのはアサヒビールディフェンス陣だった。
互いにパントを繰り返したあと、オンワードは自陣7ヤードから、自陣のゴールを背負った格好でのオフェンスを強いられる。
第2Q途中に、右わき腹をいためたQB冨澤に替わって出場したベテランQB須永が、1stダウンでRB真柄にハンドオフした後の2ndダウン7。
ハンドオフのフェイクをして、パスターゲットを探すQB須永を、背後からアサヒビールDL荒川がQBサック。その衝撃でQB須永はボールをファンブル。ボールはオンワードのエンドゾーンを転々と転がる。このボールにアサヒビールLB春日が飛び込んで値千金のTD。
ディフェンスの得点でアサヒビールが20−6とオンワードを突き放すことに成功した。
第4Qに入ってからも、アサヒビールディフェンス陣の勢いはとまらない。
オンワードが自陣37ヤード付近で迎えた3rdダウン6でも、やはりアサヒビールDL荒川がオンワードQB須永をサック。ファンブルしたボールを主将DL佐々木が押さえてオフェンスを支援。
このチャンスにQB金岡を中心としたオフェンス陣が応え、最後はRB鈴木が18ヤードを走りきってTD。27−6とする。
結局これがファイナルスコアとなり、今世紀最後のレギュラーシーズンは幕を閉じた。2回のインターセプトと3回のファンブルロストを犯しての敗戦にオンワード野田監督は「無残な負け方だった」と振りかえる一方で「来年はアサヒビールを目指してもう一度チャレンジしたい」と語った。
一方のアサヒビール阿部監督は「(ファイナルに向けて)やっと間に合った。去年いい思いした分、今年は苦労すると思っていたが、こんなに苦労するとは思ってなかったよ」と安堵の表情を見せた。
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