WEST3連覇を目指すアサヒ飲料チャレンジャーズと、そのアサヒ飲料と春は接戦を演じたイワタニサイドワインダーズが対戦した。
ボールコントロールをして、できるだけ時間を使いたいイワタニがいきなりのミスだ。試合開始直後の第1プレー。QB大橋の投じたボールが、アサヒ飲料のDB内田にインターセプトされ攻守交代。ゴール前34ヤードからの攻撃権を与えてしまう。
そのアサヒ飲料、なんとゴール前2ヤードに迫るまで7プレー中、5プレーをエースRB中村が中央などを力強く走り抜けた。そしてここまでくれば最後もやっぱり中村だ。右のオフタックル付近を走り抜けTD。幸先の良いスタートを切った。
強いチームには運も味方する。第1Qの終了間際の自陣47ヤードからの攻撃では、RB中村の走りも冴えず、QB新生のパスも決めることが出来ず、攻撃権を放棄するためP田中がパント。しかし、このボールをイワタニのリターナーがエンドゾーン内ではじいたところにアサヒ飲料の津乗が走り込みリカバー。“ミラクルパンター”田中は健在。パントがTDとなり14−0とリードを広げた。
その次のシリーズでも自陣からRB中村が15ヤードのランを見せ敵陣へ。ここからアサヒ飲料の今年の課題であるパス攻撃を、QB新生がWR西岡へ決める。これが46ヤードのTDパスとなってリズムを完全にアサヒ飲料のものとした。
前半終了間際にも自陣33ヤードからRB中村、進藤のランや、QB新生からWR西岡への新ホットラインパスなどで着実にボールを進め、最後はRB中村が大きな体を宙に舞わせてTD。前半を28−0で折り返した。
後半に入ってからはQBに新人の桂(日大)を起用。RBにも「何か起こしてくれそう」と藤田ヘッドが期待する関東学生の1000ヤードラッシャー、新人・瀬畑(明治大)が入り、様々なプレーが試される。日大出身のQB桂は、アメリカ遠征試合で準備したショットガン体型からの攻撃を見せるなど、これまでのアサヒ飲料のオフェンスとはひと味違う内容となった。
第3Q9分46秒と第4Q3分17秒にはK橋本が、33ヤードと18ヤードのFGを決め得点を追加。イワタニも完全に為す術なしだ。
かろうじて相手ファンブルから得たチャンスで、QB大橋からWR内田へのパスが要所で決まり、最後はTE越智へのパスでTD。6点を返すのがやっとだった。
さらにアサヒ飲料はすっかり試合に慣れた桂が、ショットガン体型からWR米木へ21ヤードのパスを決めてTD。41ー6で試合を終えた。
藤田ヘッドコーチは「QBの使い分けは予定通りでした。新生も春から比べるとかなりチームに合ってきたと思います。というよりも、彼のリーダーとしての存在がチームにとってとても大きいですね」とようやく巡り会えた信頼できるQBにホッとした様子だ。
その新生は「前半は最低限しなければならないことはできたと思います。攻撃に課題のあるチームですから、それを少しずつ解決していってもっと成長させていかないといけませんね」と気合いを入れ直す。
一方のイワタニの森下監督は「春は接戦できましたが、完成度が全然違っていました。その上、相手のミスにつけこまないといけない我々がミスをしてしまっては試合になりません。でもこれほどのチームは(WESTでは)他にないでしょうから、ミスを素早く修正して次につなげたいですね」と早くも松下電工戦に頭を切り替えていた。
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