CENTRAL優勝候補同士の注目の一戦。富士通フロンティアーズと鹿島ディアーズの早過ぎる頂上決戦は、ゲームの中盤で立て続けに3本のタッチダウンを奪った鹿島が、21−7で富士通を振りきり、勝ち点を4とした。
鹿島は次節、昨季苦杯をなめた因縁の相手、同じく勝ち点4で首位に並ぶ日産スカイライナーズ戦に向けて、価値ある1勝をものにした。
ともに超Xリーグ級のライン力を誇り、その戦いぶりが焦点となったが、攻守ともに鹿島が一枚上手だった。
オールジャパンT古川を中心とした鹿島のオフェンスラインは、「終始、オフェンスラインがコンスタントに安定していた」(森ヘッドコーチ)と語るように、QB鈴木を完璧にプロテクト。エースWR板井、関沢、八百板、そしてRB堀口へ面白いようにショート、ミドルのパスを成功させた。27回投じたパスは19回成功。実に70%の成功率で、3つのTDパスを演出させた。
一方、鹿島のディフェンスラインも、DE木下が2つのQBサックと大暴れ。DT谷嶋、木村もQB中澤に終始プレッシャーをかけ続けた。富士通自慢のランプレイも、LB比留間、岡橋のランサポートが光り、僅か94ヤードに抑え込んで貫禄を見せつけた。
「まだまだ、肉体面、技術面で鹿島のラインには及ばなかった」(奥監督)と、攻守ライン戦で鹿島がゲームを支配するかたちになった。
ゲームは、第2Q10分24秒、鹿島はQB鈴木からWR志田へのTDパスで先制。
第3Q開始直後にも、これまで着実にゲインを重ねてきたショートパスが、まるで布石だったかのようなWR板井へのロングパスで敵陣深く攻め込むと、再びWR志田へのTDパスで14−0とリードを広げる。
さらに続くシリーズでもTE八百板へのTDパスをヒットさせ、21−0と富士通を大きく引き離す。
第4Qに入ると、富士通はロングパスで必死の反撃を試みるが、鹿島DB白井のインターセプトされるなど攻撃がつながらない。
しかし、そんな暗いムードを振り払ったのが新人DB青木のパスインターセプトだった。このインターセプトで活き上がる富士通は、RB森本のランで大きくゲインすると、中央付近でオープンになったWR佐藤がパスをキャッチすると、そのまま14ヤード駆け抜け、僅か2プレイで7点を返す。
しかし富士通の反撃もここまで。結局21−7で鹿島が逃げ切った。
過去3度の対決で全て鹿島に敗れ、リベンジを誓った富士通QB中澤だったが「全て自分の責任。ゲームプランだった短いパスとランが上手く機能しなかった」と肩を落とした。
これで富士通は、最終戦の日産戦まで取りこぼしの出来ない厳しい状況になった。
この日のゲームは強豪同士の注目のカードだっただけに、両チーム合わせて19回(富士通8、鹿島11)のペナルティは、些か多く少し気にかかるところである。シーズンも中盤戦にさしかかるが、今後は会場に足を運んでくれるファンのためにも、テンポのよいエキサイティングなゲームを期待したい。
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