残暑の日差しが照りつける大阪市長居球技場。21世紀Xリーグの開幕戦、クラブベアーズとファイニーズフットボールクラブの一戦は、かつての因縁対決を彷彿させる激しいシーソーゲームとなった。
先制したのはファイニーズ。村田ヘッドコーチ期待の“和製スラッシュ”木下がQBで先発出場。自陣16ヤード付近からのオフェンスを、自らのキープや、この日絶好調のRB井場のランなどで次々とダウン更新。Qタイムを挟み、最後はQB木下自身がエンドゾーン左隅に走り込んでTD。幸先の良いスタートを切った。
ベアーズの先発は日大出身の新人QB奥。立ち上がりから小気味よいドライブを見せるものの得点に至らなかったが、先制された直後のシリーズ、5プレー目。50ヤード付近でハンドオフされたボールを受け取ったRB杉山がロングゲイン。48ヤードを走りきってTD。瞬く間に7−7の同点とする。
ファイニーズも負けていない。その次のキックオフリターンでリターナーに入ったRB井場の50ヤードビッグリターンが炸裂。TDには至らなかったものの、このチャンスにK山本が30ヤードFGをキッチリと決めて、ファイニーズ10−7。
RB井場が見せれば、ベアーズはRB波武名だ。直後のキックオフリターンで、今度はRB波武名の85ヤードリターンTDが飛び出し、ベアーズが14−10と逆転に成功して前半を終えた。
後半開始早々のファイニーズ。ファーストプレーでRB井場が再びロングゲイン。相手タックラーをなぎ払いながら58ヤード独走してTD。17−14とファイニーズが逆転に成功する。
さらに次のシリーズでも、交代出場したQB荒木からのパスを受け取ったRB井場が、約50ヤードのセカンドエフォートで一気にエンドゾーンへ。復活ダイナマイトバックの独走2連発で24−10と試合の主導権を握ったかに見えた。
「後半にようやく歯車がかみ合ってきた」とベアーズ肥田代表。リードを奪って勢いにのるファイニーズオフェンスを副将DL城坂を軸にしたディフェンス陣が辛抱強く凌ぎながら、QB奥からWR前波へのパス、RB波武名らのランなどで徐々にゴール前へと陣地を進めると、3Qの終了間際、RB波武名が8ヤードを走りきってTD。24−17と点差を詰める。
続いてのファイニーズのオフェンスシリーズで、パスの体制に入ったQB荒木にDL城坂、LB久野らが襲いかかりファンブルを誘う。これをDL城坂が確保し、ゴール前35ヤード。
この絶好のチャンスをRB山口、宮下、辻野らのランで丁寧に運び、RB宮下の15ヤードTDランでフィニッシュ。結局、これが決勝点となり28−24。ベアーズが大事な初戦を白星発進した。
「ミスの多いフットボール、お客さんに恥ずかしいゲームをしました」とベアーズ肥田代表。クラブチーム化2年目の秋を迎え「実業団時代は、シーズン入りの頃にはもうチームが完成していたが、いまは違う。まだまだこれから」と辛勝に胸をなで下ろす。
今年からチームを見守る家門監督。「現場はコーチ陣に任せてあるので、みんながフットボールをしやすい環境を作るのが仕事」としながら、「奥選手は技術的にいいものを持っているので今後が楽しみ」と目を細める。
一方、破れたファイニーズの村田ヘッドコーチは「後半、井場に疲れが出たあたりでチームのパフォーマンスが落ちてしまった。(再逆転後の)4THダウンギャンブルを2回とも止められたのが痛かった」とゲームを振り返った。
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