FINAL6出場のためには負けることができないアサヒ飲料チャレンジャーズと、大量点差で敗れない限り出場できる松下電工インパルスの対戦。
その気持ちの差がどのように試合に影響するかが注目されたが、チームのムードが今季最高だったアサヒ飲料が14−7で勝利を収め、松下電工とともにFINAL6へ駒を進めた。
試合開始からアサヒ飲料のテンポがこれまでと違う。RB瀬畑や中村(多)が1ヤードでも前に進もうとする粘りを見せると、QB桂もTE高橋、RB中村へのパスを決め、ゴール前6ヤードまで迫った。
ここでRB中村が、昨年の走りを思わせる中央突破を見せTD。1stシリーズで、あの強力な松下電工ディフェンス陣から得点を奪った。
一方の松下電工も相手のミスからチャンスを得た。アサヒ飲料のRB瀬畑がファンブルしたボールをLB杉本がリカバーし、ゴール前30ヤードからの攻撃権を得る。
ここでQB高橋(公)がWR芝原へロングパスでTDを決め、あっけなく同点に追いついた。
その後は松下電工、アサヒ飲料ともに攻めあぐむ。特に松下電工はQB高橋(公)のパスが、アサヒ飲料DB陣の完璧なカバーに、成功させることができない。
アサヒ飲料のLB山田が「パスを決められたらやばい。できればQBが投げられずに、スクランブルするよう追い込みたい」と話すとおりの展開に持ち込む。
追い詰められた松下電工オフェンスは、RB樫野がファンブルしたり、QB高橋(公)の投じたパスがアサヒ飲料のDB橋本にインターセプトされるなど苦戦を強いられる。
そしてアサヒ飲料はその2度目のターンオーバーをものにした。
自陣30ヤードからQB桂がテンポよくパスを決める。WR佐々木、西岡、TE玉井や、RB中村(多)、そしてWR桃澤へのパスが連続してヒット。ゴール前18ヤードまで迫った。
ここからもパスで攻め失敗するが、松下電工がパスインターフェアの反則。ゴール前4ヤードから、最後はWR榎へのTDパスが決まり、14−7と再びリードを奪った。
後半に入ってからはともに自陣でのオフェンスが続き、なかなかチャンスを得ることができない。両チームともようやく得た敵陣でのオフェンスでも、WRがパスカバーされQBサックの連続だ。
試合終了まで残り1分45秒となった松下電工のオフェンスシリーズまで、まったく試合は動かないままだった。
そしていよいよ「2ミニッツ」が得意なQB高橋(公)がフィールドに登場すると、スタジアム全体が大声援で揺れるほどボルテージが上がった。
そしてその声援に応えるかのごとく、逆転へ向けたドライブが開始された。自陣30ヤードからWR下川、松岡へのパスが決まり自陣45ヤードまで前進。
ここから再びWR松岡へのパスが決まり敵陣まで陣地を進める。ここで高橋(公)はエンドゾーン左へ向けて、縦を走るWR塚崎へロングパスを投じる。
誰もが奇跡のTDを思い浮かべたその瞬間、運命のダ円球は、勝利への執念で僅かに勝るアサヒ飲料のDB橋本の胸の中へ。インターセプトとなり攻守交替。そのまま試合は終了した。
アサヒ飲料・藤田ヘッドコーチは「選手がこの2週間本気になって、いい練習をやってくれたおかげです。ベアーズに敗れたときとは違うチームになりつつある。FINALのことはこれから考えますが、対戦相手が、昨年勝たせてもらったチームになりそうですので、思い切って戦いたいと思います」とほっとした表情で話す。
一方の松下電工・村上監督は「格が違いました。個々の選手も、作戦面でも…。1本差やったんでワンチャンスをものにできればとも思ったんですが、やることなすことすべて止められましたね」と渋い表情で試合を振り返っていた。
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