日本一奪還に燃えるアサヒビールシルバースターが初戦を完封スタート。合併後、初のリーグ戦となったレナウンローバーズは、黒星スタートながら何かをつかみとった様子だ。
キックオフはレシーブのレナウン。QBスローンは3プレー目にWR崎谷へのミドルパスで1stダウンを獲得する。しかし3rd13で アサヒビールDB米田にインターセプトされてターンオーバー。
シルバースターのスタートQB東野は、立命大時代の盟友RB中村友を右、左、中へと散らして走らせ、レナウンの反則も誘うなど、1stダウンを奪うが得点には至らず、決め手を欠く1Qとなった。
2Q、アサヒビールの先制は幸運がもたらした。アサヒビール自陣28ヤード付近からのパントフォーメーションで、スナップされたボールをP山口がジャッグル。パント出来ないとみた山口はそのまま20ヤード走って1stダウン獲得。
このシリーズを確実にドライブして、RB中村の右オフタックル付近のランでTD。先制に成功する。
後半アサヒビールは、米国AFL(アリーナフットボールリーグ)帰りのQB金岡を投入。
3Q最初の自陣35ヤードからオフェンスシリーズ。2プレー目で金岡はスクランブル発進。切れのある速さで31ヤードを走る。
レナウン陣内に入って、今度はベアーズから移籍したRB波武名が右オフタックルから34ヤードを駆け抜けてエンドゾーンへ。移籍初TDとなった。
さらに圧巻の3TD目。3Q6分55秒、アサヒビール陣内14ヤードからQB金岡の放ったプレーアクションパスはレナウンDB陣を抜き去ったWR高橋の手に収まり、そのまま一気に独走。86ヤードTDパスのビッグプレーとなった。
引き離されたレナウンは、RB池田のラン、WR金原へのパスを繰り出すが、DE佐々木を始めアサヒビールディフェンス陣の厚い壁が崩せない。
4Qには、QB金岡からWR久保田への29ヤードTDパスがヒット。再び登場したQB東野もRB波武名の2本目TDを演出。FGも加わって、圧勝となった。
阿部監督は「今日は深堀に聞いてやってくれ。全部やってくれたから」と深堀戦略コーディネーターを指名した。
深堀コーディネーターは「スロースターターで相手にあわせる感じがでてしまった。オフェンスは新戦力を加えた攻撃が出来た。金岡の仕上がりはそこそこいい。東野も去年よりもステップアップしている。後半点が取れてよかった」と胸をなで下ろした。
次戦は上り調子の学生援護会ROCBULLとの対戦(9月21日)。「年々強くなっているし、ハートが良いね。まとまっているし」と気持ちを引き締める。
一方、レナウンの小澤監督は「けっこう良い選手がいるけど、大きな試合を経験していない。でもQBサックがなかったし、当たり負けはしていなかった」と、光明を見いだしたようだ。
期待のQBスローンにとっては、チームに合流してから僅か2ヶ月。しかも相手はリーグ屈指の強豪アサヒビール、そして開幕戦、と「新しい環境で、緊張してあがってしまった」(QBスローン)と不利な条件ばかりだったが、「オフェンスラインもよくやってくれた。RBも走るし、レシーバーもね。もっと一体感を出していければ」と手応えはつかんだ様子だった。
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