EAST優勝候補筆頭の鹿島ディアーズと、今季まだ勝ち星のない日産スカイライナーズの対戦は、最後まで勝敗の行方がわからない熱のこもった好ゲームとなった。
鹿島は最初のシリーズでRB平手のラン、QB鈴木からWR植村、椎野、関澤へのパスでテンポ良く1stダウンを重ね、新人WR松永への20ヤードTDパスで、幸先よく7点を先制。
今季は、ここまで接戦はするもののなかなか勝利につながらない日産。この試合も日産自慢のオプション攻撃が、終始鹿島ディフェンスを苦しめることになる。
RB望月、伊橋のランプレー、QB岡本自らのオプションキープで、鹿島のLB陣に揺さぶりをかけ、第2Q開始早々にQB岡本自らが1ヤードをねじ込み、7−7。試合を振り出しに戻す。
勢いづいた日産はディフェンスも健闘。
DLがQB鈴木に激しいプレッシャーをかけ、LB山本のパスカット、ベテランLB近藤のハードヒットで容易にゲインを許さない。さらに第2Q9分過ぎには、K渡辺が44ヤードFGを決め、10−7と逆にリードを奪って前半を終える。
後半に入っても日産オプションが冴え渡る。QB岡本がキーププレーでロングゲインを連発して、敵陣深くまで前進。最後は、QB岡本からTE洗井への18ヤードTDパスが決まり17−7。鹿島をジリジリと追い詰める。
看板のディフェンス陣が日産オフェンスの前に後手後手に回り、重苦しいムードが漂う鹿島だが、ここでオフェンスが奮起。
QB鈴木が冷静にWR椎野へ22ヤードのTDを決めて、17−14と反撃開始。
日産のFG失敗でピンチを逃れた鹿島は、モメンタムを一気に引き寄せる。
RB平手のラン、QB鈴木からTE八百板へのロングパスでゴール前まで前進すると、最後はエンドゾーン中央でフリーになっていた新人WR松永へ、矢のようなTDパスをヒット。第4Q中盤ついに逆転に成功する。
ディフェンスが劣勢に立たされて苦しい試合展開の中でも冷静にオフェンスを指揮し、TDを演出するQB鈴木の勝負強さが光ったドライブだった。
日産オフェンスは最後のドライブを新人QB藤澤のショットガンに託すが、敵陣30ヤードまで進んだところで無念のゲームオーバー。
鹿島が苦しみながらも21−17で勝利を収め、開幕4連勝(勝ち点8)。FINAL6進出へ一番乗りを果たした。
「FINAL6出場は決まってもシード権はあまり意識していない。とにかく一戦一戦集中して勝ち続けることが大事」と一戦必勝体制を強調する鹿島の森ヘッドコーチ。
「決め手になる所でのミスが得点につながらなかったのが敗因。しかし、鹿島相手にこれだけの試合ができたのは、来年に向けて大きな自信になるでしょう」と日産の田中監督は淡々と語りながらも、新旧交代の時期にあるチームに、確かな手応えを掴んだ様子だった。
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