昨年のFINAL6準決勝と同じ顔合わせ、アサヒ飲料チャレンジャーズと鹿島ディアーズが対戦した。
試合終了後、スコアボードに刻まれた数字は28−10。そして勝利したのは、FINAL6で実力以上の力を出すアサヒ飲料だった。
WESTディビジョン最終戦で、松下電工を相手に7点しか取れなかったオフェンスがこの日は違った。その気迫を引き出したのはディフェンスだった。
鹿島のファーストシリーズ。QB鈴木がショットガン体型から攻めようとしたところ、アサヒ飲料DL古河がボールを叩き落とし、ファンブルしたボールをLB木村がリカバー。
いきなり敵陣32ヤードからのオフェンスの権利を得た。
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ここからQB桂のスクランブル、RB瀬畑のランでゴール前8ヤードまで迫り、最後はQB桂が右にロールしてそのままエンドゾーンに走りこみTD。アサヒ飲料が先制。
対する鹿島、その直後の自陣34ヤードからオフェンスシリーズ。
相手の反則や、QB鈴木からWR関澤へのパスなどでゴール前5ヤードまで迫った。ここからQBサックされていったん後退したものの、最後はWR板井へ9ヤードのTDパスが決まり7−7の同点に追いついた。
爆発的なオフェンス力をもつ鹿島を相手に、少しでもリードを広げておきたいアサヒ飲料は、次の自陣34ヤードからのシリーズで、RB杉山が怒涛の走りを見せる。
あいだにTE河合へのパスとQB桂のランを挟んで、連続でタイミングの遅いランプレーを展開して、5連続ダウン更新のドライブ。一気にゴール前2ヤードまで迫った。
そして最後は、この試合積極的な走りをみせるQB桂が再び右へロールし、そのまま持って走りTD獲得。
次の自陣47ヤードからのオフェンスでは、RB杉山の30ヤードのビッグランと、RB瀬畑のリバースプレーによる15ヤードの前進でゴール前4ヤードに迫り、ここでRB辻野が右オフタックルを走りぬけTD。21−7とリードを広げた。
鹿島も前半終了間際に、QB鈴木からWR松永に39ヤードのロングパスが決まり、K田中が44ヤードのFGを狙うものの失敗。そのまま前半を終了した。
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後半に入ってからは両チームとも決め手に欠く。互いに自陣から抜け出せないでいる中、ようやく鹿島が敵陣からのオフェンスを開始した。
相手陣内48ヤードからQB鈴木のスクランブルで前進、4thダウンでは、パント体型からショベルパスを決めファーストダウンを奪う。
このプレーで、アサヒ飲料の守護神LB山田(晋)が負傷で一時退場。一瞬、いやなムードがアサヒ飲料ベンチに漂うが、アサヒ飲料ディフェンス陣の集中力が途絶えることはなかった。
そのあと鹿島は、WR松永へのリバースプレーでゴール前15ヤードまで迫るものの、ここからのプレーが決まらない。RB池場のランも、QB鈴木のパスもエンドゾーンまで届かず、K田中の33ヤードFGで3点を奪うのがやっとだった。
反対にアサヒ飲料は、その直後にQB桂、RB瀬畑のランでドライブし、ゴール前まで迫ると、RB杉山がしっかりと決めて28−10。勝利を手中に収めた。
「あの(鹿島の)ディフェンスをランで粉砕したんですよ。桂も死ぬ気で走ってた。こんなに点を取れるとも思ってなかった。波に乗ったら強いチームです」と、山川GMは興奮気味に話す。
この日、責任感溢れるプレーが随所で光ったQB桂は「関西の、クラブチームのフットボールを見てもらうためにも、僕たちは勝たなければならない」と会心の表情だ。
一方、敗れた鹿島の森ヘッドコーチは「向こうが全てで上回っていました。完敗です」と言葉少な。優勝候補筆頭の鹿島が早くもシーズンオフを迎えた。
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