今年限りでその役目を終える阪急西宮スタジアムでの最後のゲームデイ。
富士通フロンティアーズのパス攻撃が炸裂するのか。それとも松下電工インパルスが守り抜くのか。注目の試合は、前評判通りのディフェンス戦が展開された。
まずチャンスを掴んだのは富士通。自陣36ヤードからのオフェンスでQB中澤からWR水口、WR佐藤へ続けてのパス。QB中澤も自らが持って走り、敵陣30ヤードまで迫った。
しかしここから反則やQBサックなどで後退し、最後はQB中澤の投じたパスを、松下電工DB山田にパスインターセプトされ、先制点には至らなかった。
富士通は次のオフェンスで、自陣49ヤードからエースRB森本のラン、そしてQB中澤のパスプレーでは、松下電工のパスインターフェアを誘い、敵陣29ヤードまで迫った。
ここでエースRB森本が右から左へカットバックして中央を突破、そのままエンドゾーンへ。あっさりと先制点を奪った。
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一方、松下電工のオフェンスはフィールドポジションの悪さもあって、敵陣に攻め込むことができない。P太田が必死のパントをみせ、ハーフライン付近まで陣地を挽回するものの、かなりディフェンスに負担のかかる展開となった。
富士通はQB中澤のパスが決まらないとみるや、QB木之下を起用し、RB森本にボールを持たせる作戦を展開。しかし、落ち着きを取り戻した松下電工の厚い壁に阻まれ前進することができない。
前半終了間際の富士通。自陣11ヤードからRB森本のランと、QB中澤からWR高橋(睦)へのパスで3連続ダウン更新。敵陣18ヤードまでロングドライブを見せ、最後はK長谷が38ヤードのFGにトライしたが、ラッシュしてきた松下電工LB霊山にカットされ失敗。7−0のまま前半を終えた。
後半に入ってからも富士通は、QB中澤からWR高橋(睦)へのパスと、RB森本のランで前進するものの、ゴール前で決め手に欠きTDを奪えない。
対する松下電工は第3Qまで、一度も敵陣に攻め入ることができないまま第4Qを迎えた。
その松下電工、自陣10ヤード付近からのシリーズ。QB高橋(公)からWR下川への35ヤードのロングパスと、相手DBのパスインターフェアで敵陣39ヤードまで前進。さらにWR塚崎へピンポイントのパスを2回連続して決め、ゴール前11ヤードとこのゲームで初めての得点機を迎える。
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この勢いで一気にTDかと思われたが、2ndダウンで痛恨のホールディングの反則。さらに「あれを決めないとね」と村上監督が振り返ったWR下川へのTDパスを、富士通DB三上が競り合いながらカット。K太田の40ヤードのFGもディフレクトされ、無得点に終わった。
何とか追加点を奪いたい富士通、時間を消費しながら徹底的にRB森本にボールをもたせる作戦を展開するが、ランディフェンスには強い松下電工に抑えられてしまう。
また松下電工も、試合終了まで残り1分10秒から逆転へ最後の望みをかけたオフェンスを展開したが、時すでに遅し。
結局、富士通が先制点を守りきって7−0で勝利。初の東京スーパーボウル出場の切符を手にした。
「大一番で主将の高橋(睦)がいいプレーを出してくれた。もう1本はオフェンスが点を取れると思ったのですが、松下電工さんのディフェンスは強かったですね。今日はウチのディフェンスがよく頑張ってくれました」と、富士通の奥監督。
「私は2000年からチームをみていますが、そのころはロースコアの試合で勝つ自信がなかった。でも僅差のゲームをモノにするという経験を踏んだことで選手1人1人がタフになってくれた。次もウチらしく守る中で、勝機を見出していきたい」と息を弾ませる。
久々に西宮スタジアムでプレーをしたQB中澤は「学生時代はコテンパンやられた場所でしたが、最後の最後にいい想い出が出来ました。今年はいろいろな壁(鹿島戦、FINAL6準決勝)を破ってきているので、この勢いで・・・」と、シーガルズとの最終決戦に向け、瞳を輝かせる。
一方、松下電工の村上監督は「全部ダメでした。前半にビックプレーを出してムードを変えたかったが、仕掛けが遅すぎました。向こうに地力があるということです」と淡々と話した。
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