X League
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解説記事

シーガルズ VS 富士通フロンティアーズ
チーム名 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
シーガルズ 7 0 7 0 14
富士通フロンティアーズ 0 0 7 0 7

熱競!壮絶なディフェンスバトルを制しシーガルズ優勝!
 2002年度Xリーグの覇権をかけた東京スーパーボウルは、21500人の大観衆が見守る中、最後の最後まで勝負の行方がわからない壮絶なディフェンシブゲームとなった。
 息詰まる熱戦の結末は、4年ぶり3回目の優勝を目指すシーガルズが、初陣富士通フロンティアーズの挑戦を退けた。

 これまで後半の選択権を行使してきた両チームだが、コイントスに勝ったシーガルズのキックオフ、富士通のリターンで試合は開始された。
 自陣25ヤードからの注目の第1プレー、中央突破のプレーでRB森本がスルスルと抜けていきなり31ヤードのロングゲイン、ランプレーでボールコントロールしたい富士通にとっては幸先の良いスタートとなった。
 しかし、QB中澤からWR水口、久保田へのロングパスは失敗に終わり第1シリーズを終える。
シーガルズディフェンス陣 (C)M.Sato  一方のシーガルズも、自陣18ヤードからRB古谷が2回続けてキャリーするが、DL小田川がロスタックルを浴びせ、スナップミスもあり1度もダウン更新できずにパントとなる。

 続く富士通のオフェンスで手痛いミスが出る。
 3rdダウンでQB中澤が放ったパスをLB世利がチップし、浮いたボールを自らインターセプト。シーガルズが自陣49ヤードという絶好のフィールドポジションからの攻撃権を得る。
 このチャンスにQB高橋がSB清水(謙)へのフックパス、トリックプレーからWR前川へのパスを成功させて大きく前進。
 そしてゴール前5ヤードからの2ndダウン、両TE体型からエンドゾーン左奥でフリーになったTE安東へのプレーアクションパスが成功しTD、7−0と先制する。

 強力なランディフェンスを持つ両チームのディフェンスの威力は、この日も存分に発揮され、お互いのエースRBが徹底マークされてオフェンスのリズムが掴めないままスクリメージライン上はDL、LBが支配し続けることとなる。

 そんな膠着状態からの打開を図るべく富士通はQBを中澤と木之下の併用、シーガルズはショートパスに活路を見出してオフェンスに幅を持たせようとするが、ディフェンスの渾身のタックル、パスラッシュに行く手を阻まれ、7−0でシーガルズがリードのまま前半を終了する。

 後半になっても両チームディフェンスの勢いが止まらない。
 富士通はDL西がショートヤーデージの中央突破をソロタックルで仕留めれば、シーガルズも負けじとパスを投げようとするQB中澤に強烈なプレッシャーを浴びせ、ダウン更新を阻止する。

 なかなか自分達のペースに持ち込めない我慢比べで最初に仕掛けたのがシーガルズ。
 第3Q終盤、4thダウンでパント体系からQBの位置に入った寺田のスニークでファーストダウンを獲得して攻撃続行。
 意表を突かれた富士通に嫌なムードが漂ったが、この直後辛抱強く耐えてきたディフェンスにビッグプレーが生まれる。

 ブリッツに入ったDBラフィーバが鋭い出足でファンブルフォース。こぼれたボールをLB北奥が拾い上げてリターン、併走していたDB吉田がラトラルパスを受けてそのまま63ヤードのリターンTD。
 オフェンスが封じ込まれて窮地に立たされた富士通にとっては願ってもないカタチでの得点で、試合は7−7の振り出しに戻った。
QB高橋 (C)M.Sato  しかし、これ以上に見事だったのがこの直後のシーガルズオフェンス。
 QB高橋がSB清水(謙)へ立て続けにパスを通して敵陣16ヤードまで前進、最後はWR中村への左エンドゾーン際へのパスでTDドライブを完結させ、14−7と再びリードを奪う。
 思わぬミスでTDを献上し、息を吹き返した富士通に対して冷静にパスを通してワンチャンスをものにするシーガルズオフェンスの底力、そしてQB高橋の勝負強さが光ったシリーズだった。

 初の東京スーパーボウル制覇に燃える富士通もこのままでは終れない。
 第4Qに入ってもLB平本のインターセプト、LB北奥のロスタックルでシーガルズオフェンスを寸断し、オフェンスの奮起を待つ。

 試合時間は残り9分8秒。ハーフウェイ付近から富士通にとって初優勝を賭けた最後のドライブが開始される。
 まずRB森本が3連続キャリーして1stダウン獲得。QB中澤からRB岡野、主将SB高橋へのパスを挟んで、今年の富士通オフェンスの集大成であるかのごとく、RB森本の5連続キャリーで突進を繰り返す。
 エースRBにボールを集め、RB森本がソックスを引き裂かれながらもOLを信じて前進を続け、対するシーガルズも勝利への意地とプライドを懸けてRB森本を止めにかかる。
 壮絶なバトルを繰り広げるフィールドに観客の誰もが釘付けとなった。

 そして運命の4thダウン、エンドゾーンまで5ヤードを残したギャンブル。QB中澤から主将SB高橋に放たれたパスは不成功に終わり、残り時間をシーガルズがタイムキリング、14−7で逃げ切った。

 シーガルズの大橋ヘッドコーチは「勝敗がどちらに転んでもおかしくないタフなゲームになった。ミスはあったがうちにとってはベストのプレーができた」とミスを恐れず積極果敢にプレーした選手を高く評価。
 「QB高橋はプレーリードが良くなり、自信を持ってプレーできるようになった。プレーの理解が進み数少ないチャンスをモノにできるようになった」とエースQBの成長を喜んだ。

 一方、惜しくも破れた富士通のカートローズヘッドコーチは「(最後のドライブを指して)チャンピオンまで残り5ヤード。選手達はよく頑張った。これを来季につなげこの場所を記憶して、励みにしていきたい」と熱戦をやり遂げた選手達をねぎらった。

 2002年度Xリーグを制したシーガルズは1月3日のライスボウルで学生王者の立命館大学パンサーズと対戦することとなった。


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