「今日は2年前の借りを返しにきました」と五洋建設パイレーツの左瀧監督。「絶対に負けられない相手です」とIBMBigBlueの的場監督。
2001年の隠れた名勝負、五洋建設とIBMの入替戦。このときはIBMが1点差で勝利を掴みXリーグ初昇格を決めた。X2時代より知る人ぞ知る因縁のライバル。今回は五洋建設に軍配、2年前の雪辱を果たした。
東京ドームが緊迫したムードにつつまれるなか、ゲームはIBMのオフェンスから始まった。ダウンを2度更新するものの、敵陣深くまでは攻め込めずパント。
続いて五洋建設。この日先発したQBの川嵜がTE二宮らにミドルパスを連発するも、IBMのCB阿部(暁)のすばやい反応に阻まれ、思うように前進できない。
敵陣31ヤードで、五洋建設がキーププレー中にファンブル、IBMのDB福田にリカバーされてしまう。
次のシリーズ、好機を生かしたいIBMだが、五洋建設のディフェンス陣がそれを許さない。両者一歩も譲らず、時間だけが過ぎてゆく。
ところが、前半終了まで残り3分を切った時、ビッグプレーがとびだした。
IBM自陣18ヤードからのオフェンス。3rdダウン残り11ヤード。QB岡村が勝負にでた。
ロールアウトからパスの体勢に入ったが、目の前にあいた穴をいち早く察知。猛然と駆け抜ける。2人3人と追い上げる敵をふりきって、82ヤードの独走のTD。TFPもしっかり決め7−0と先制する。
五洋建設もQBを川嵜から君川にスイッチ。なんとか攻撃のリズムをつかもうとするが、前半は得点ならず。ハーフタイムに突入する。
この時点で両者のプレー数はともに26。攻撃権所有時間も五洋建設が12分10秒。IBMが11分50秒と、ゲームの主導権をめぐって熾烈な争いが繰り広げられていた。
「普通にやれば大丈夫」。追いかける側にまわった五洋建設だったが、左瀧監督の言葉通り後半からは徐々にパイレーツらしさを取り戻してゆく。
後半1シリーズ目は自陣32ヤードからの五洋建設。RB阿部(昌)やRB林らの奮起で、敵陣22ヤードの得点圏に前進。
IBMは、CB内田、DB福田らがぴったりとパスターゲットに張りつき、4thダウン残り9ヤードまで追い込む。
五洋建設は、フィールドゴールにトライするも、ゴールポストをわずかにそれる。
ピンチを乗り切ったIBMだったが、次のオフェンスシリーズで、五洋建設のDL久原から連続してQBサックされ、流れを断ち切られる。
敵陣40ヤードから始まった五洋建設のシリーズ。ゴールまで残り3ヤードと迫ったところで、ベテランRB古谷を投入、こんどはきっちりと決める。7−7。
ここで勝負はふりだしにもどった。
しかし、後半になってからIBMのオフェンスは、いまひとつリズムをつかみきれずにいた。RB礒谷にボールを持たせても、闘志溢れる五洋建設ディフェンス陣のスピードで跳ね返され、パスターゲットのWR安田、円谷には、ぴったりとDB陣が張りついている。
思うように前進できぬまま、試合のモメンタムは徐々に五洋建設に傾いていった。
第4Q。自陣30ヤード付近から11プレイを重ね、エンドゾーンまで16ヤードと迫った五洋建設。決勝点となるTE二宮へのTDパスがきまり、14−7と試合をひっくり返す。
試合終了まで残り3分39秒。IBMが最後の猛攻をみせるも、「猛守」で守りきった五洋建設に勝利の女神はほほえんだ。
「今日のMVPは久原でしょう。特にディフェンスは2年前のメンバーがほとんど残っている。我々は、今日勝つためにいままでやってきたといっても過言ではない」と、顔を赤らめながら語ってくれた五洋建設の左瀧監督。
「チームスローガンの“ゲット・ザ・ボール”の精神で、鹿島戦、オール三菱戦を戦い抜いていきたい」と、力強く締めくくった。
これで五洋建設は2勝1敗の勝ち点4。惜しくも敗れたIBMは現時点で勝ち点0。両チームとも今後は上位チームとの対戦を控えるだけに、ミスのない試合で勝機をつかみたい。
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