富士通フロンティアーズが順当な試合運びで、日産スカイライナーズを制した。日産も「時間を使い、ロースコア」という試合展開を狙ったものの、一発に泣いた。
富士通戦初勝利を狙う日産は、ランプレーで時間を確保し、ロースコアを狙うゲームプランを描いていただろう。
RB西川のダイブ、QB藤澤のオプションキープにより、あっさりダウン更新。しかしパス失敗、反則とミスが続き、迎えた3rdダウンで、富士通ディフェンスのタックルにより痛恨のファンブルロスト。
敵陣30ヤードからと、絶好のフィールドポジションを得た富士通も、ダウン更新は1回に終わり、K長谷のFGも失敗に終わる。その後、両チームともパントの応酬で第1Qが終了。
このままディフェンス戦の展開が予想されたが、第2Q富士通最初のオフェンスシリーズ。「今日気持ちよく走れたのはラインのおかげ」とRB飯嶋によるゾーンプレーが45ヤード独走のTDとなり、ついに均衡を破る。K長谷のキックも決まり、7−0と先制。
一方、日産も目が覚めたかのように、RB望月のダイブプレー、QB藤澤のオプションキープ、WR高林へのパスなど、合計12プレー、時間にして約7分も使ったボールコントロールオフェンスを展開。FGレンジまでこぎ着ける。
しかしK竹島が27ヤードのFGを失敗してしまう。その裏のシリーズで、富士通もお返しに4分強をドライブ、K長谷がFGを決め10−0。日産は残り時間を流して前半終了。後半の巻き返しに掛ける。
後半開始早々、富士通のファーストプレー。RB森本のドローが72ヤードの独走TDを生み出す。日産とっては逆転のためにも、このままディフェンスに踏ん張ってもらいたいところだけに悔やまれる。
日産も後半になって修正し、様々なトラップブロックによるRB望月のダイブが、ついに富士通ディフェンスを抜け始める。
RB長谷川による31ヤードのオプションピッチも飛び出し、最後はRB望月が持ち込みTD。17−7と反撃開始。
富士通も強力ラインに支えられ、地力を見せる。QB木之下からWR大木、WRブレナンへのパス、お得意のゾーンプレーと多彩なオフェンスで相手に的を絞らせない。
RB飯嶋、第4QにはRB森本のランでTDを追加し、31−7とさらにリードを広げる。
日産は試合終了間際、最後のシリーズ。QB藤澤のロングパスをWR高林が、富士通DBとの競り合いでもぎ取りTD、31−13(2ポイントコンバージョン失敗)となってタイムアップとなった。
この最後の粘りがシーズン後半戦に生きてくるだろう。
日産は時間にして7分も富士通を上回ったのだが、一発TDに泣かされた。ディフェンス陣もシステムでは機能していたが、RBの個人技で独走されたことは、これからの戦いに向けて修正すべき課題となる。
富士通は日産と真っ向勝負を挑み、見事に初戦を制した。ディフェンスも日産のランに手を焼きながらも、辛抱して要所では止めていた。LB平本も「ウチはスロースターターだけに、初戦の日産は正直やりづらかった。しかし今日は挑戦者であったと思う」と秋制覇に磐石な姿勢をうかがわせた。
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