今年度より、「ジャパンエックスボウル」と名を改めた第１７回日本社会人選手権は、今季開幕から勢いにのるオンワードスカイラークス（以下ＯＮ−ＳＫＹ）が、選手権最多出場を誇る名門・アサヒビールシルバースターを破り、初優勝を決めた。
ＯＮ−ＳＫＹは、チーム合併３年目。「必ず３年で社会人チャンピオンをとろう」（ＯＮ−ＳＫＹ・野田監督）と、合併当初の目標どおり、３度目のシーズンにして初の頂点に登りつめた。
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試合は、ＯＮ−ＳＫＹのキックで開始された。ともにダウン更新をできないまま迎えたアサヒビール２度目のシリーズ。
ＱＢ金岡がＤＬ矢部の激しいサックをあびて、再びパントに追い込まれる。
ここでアサヒビールのＰ山口が蹴り上げたボールを、ラッシュをかけたＤＢ新井がブロック。それをすかさずＤＬ町田がキャッチして、リターンＴＤ。
アサヒビールのベストＰ山口に対し、ＯＮ−ＳＫＹディフェンス陣が準備した好プレーで、先制に成功する。
しかしアサヒビールディフェンスも粘りを見せる。ＱＢ冨澤から放たれたパスを、アサヒビールＬＢ山下が空中でカット、それをＤＢ石川がインターセプト。
このディフェンスの好プレーに、なんとしても応えたいアサヒビールオフェンスだったが、ＯＮ−ＳＫＹディフェンス陣の激しいラッシュに前進を阻まれる。
この後も激しいディフェンス合戦が繰り広げられ、どちらも得点のチャンスがなかなか掴めない。ＯＮ−ＳＫＹがＱＢを冨澤から小島へスイッチすれば、アサヒビールもＱＢ金岡から東野に代えるなど、互いになんとか突破口を見つけようとするものの、この日はともにディフェンス陣が粘りをみせる。
特に昨年のリーグ戦で、ＱＢ小島のランに終始おされた苦い経験をもつアサヒビールディフェンスとしては、ＱＢ小島のランに対する警戒が強く、パスを通される場面があったものの、この試合では、ＱＢ小島の“足”を見事に完封。
またＯＮ−ＳＫＹのディフェンスは、ＱＢ金岡に激しいプレッシャーを与え続け、パスを封じ込める。
しばしの膠着状態が続いたあと、今度はアサヒビールが、ＯＮ−ＳＫＹのＰ福田（将）のパントをブロック。敵陣１８ヤードからという絶好のフィールドポジションを得る。
このチャンスにＲＢ花房、吉岡とつなげると、最後はＲＢ吉岡が、アサヒビールＯＬ陣が得意とする右サイドを駆け抜けＴＤ。前半終了間際に同点に追いつく。
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後半のレシーブを得たＯＮ−ＳＫＹは、自陣２３ヤードからのオフェンス。
この日４６回のランアタックのうち、３３回のランプレーを任されたエースＲＢ加畑のランを軸に、ＱＢ冨澤からＷＲ井本へのパスを織りまぜ、オフェンス１３プレーという息の長いドライブで、敵陣２ヤードまで押し寄せる。
最後はＲＢ金子のランでＴＤ。しかしＴＦＰのキックは、アサヒビールＤＢ工藤が執念のブロック。１３−７とする。
７分１秒を費やした、ＯＮ−ＳＫＹのスーパードライブだったが、アサヒビールも負けてはいない。ＲＢ花房、中村（友）、伊是名のランプレーで、じわりじわりと前進を続ける。
しかしＱＢ金岡が激しいラッシュにあい、この日はパスプレーに決め手を欠く。得点には至らないまま、再び攻撃権をわたす。
しかしその直後。ＲＢ加畑へアサヒビールＤＬ三好が激しいファンブルフォース、こぼれたボールをＬＢ玉井がリカバー。ディフェンスの奮闘で、敵陣２９ヤードという好ポジションを得て、アサヒビールが再びオフェンス開始。
しかしＤＬ矢部らの激しいプレッシャーで、思うように前進できない。４ｔｈダウン、５ヤードを残してＦＧを選択。Ｋ泉が４１ヤードのＦＧを成功させ、１３−１０。同点、そして逆転劇へと望みをつないだ。
今季、粘りのフットボールで勝機を呼び込んだアサヒビールにしてみれば、「ここまではプランどおり」（アサヒビール阿部監督）。しかし計算外があったとすれば、ＯＮ−ＳＫＹのＰ福田（将）の好パントだろう。
自陣深くまで蹴りこまれたパントは、エンドゾーンぎりぎりでその動きをとめる。自陣５ヤード、自陣７ヤードと、かなり奥深くからのオフェンスを余儀なくされるアサヒビールオフェンス。
しかも、ＱＢ金岡のパスが封じ込められた状態では、時間の消費を覚悟でランに頼らざるを得ない。
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互いに一進一退となった第４Ｑ。両者無得点のまま、試合残り時間は４２秒。
３点差を追うアサヒビール、自陣４１ヤード。アサヒビールはＱＢ金岡のオフェンスに最後の望みを託す。
ファンならずとも、誰しも記憶に留める数々の奇蹟を刻んできたこのＱＢに、準備された最高の舞台。
しかしパス失敗、反則罰退で、追い込まれた３ｒｄダウンロング。ショットガン隊形をとったアサヒビールオフェンスだったが、ここで痛恨のスナップミス。
「あんなビッグプレーは、フットボール人生で初めて」（ＤＬ早崎）。このファンブルをＯＮ−ＳＫＹのＤＬ早崎がリカバーする。
最後は、勝利へのニーダウン。応援席からのカウントダウンに東京ドームが揺れる。ＯＮ−ＳＫＹが、決勝初出場にして、初優勝を決めた瞬間だった。
試合後、歓喜にわくＯＮ−ＳＫＹサイド。「今日の勝利は粘りとキレない集中力のディフェンスのおかげ」（野田監督）。「オフェンス、ディフェンスともに信じあったチーム全体の勝利」（主将ＤＢ市川）。「ＭＶＰは控えの選手、オフェンスラインがもらうべきもの」（ＭＶＰ・ＲＢ加畑）と、チーム一丸となって勝ち取った栄冠の喜びを爆発させる。
次は日本一をかけて、学生チャンピオンとの大一番。「社会人、Ｘリーグのプライドを賭けて戦う」（ＲＢ加畑）と、この日の最優秀選手は誓いを新たにした。
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