素晴らしい実績を誇る強豪でありながら、今シーズンはまだ1勝と予想外の不振にあえぐ富士通フロンティアーズと、Xリーグ初勝利を目指すクラブハスキーズが横浜スタジアムで激突した。
最初にチャンスをつかんだのは富士通。ハスキーズのQB田が放ったオーバースロー気味のパスをDB植木がインターセプト。敵陣29ヤードで攻撃権を得る。
ここから富士通はRB森本のランでダウンを更新すると、最後はQB月野がエンドゾーン隅に走りこんだWR高橋(睦)に、見事なコントロールでTDパスを決めて先制した。
続くシリーズでも、富士通ディフェンスがビッグプレーを演じる。
QB田が放ったサイドラインへのパスをDB安田が狙いすましたかのようにインターセプト。そのまま誰もいないフィールドを一気に走りぬけてTD。14−0とした。
ハスキーズも負けていない。
積極的にブリッツを仕掛ける富士通ディフェンスに、QB田がクイックパスやショベルパスで対抗。さらにRB澤田、RB平澤の軽快な走りも相まって富士通陣に迫る。
QB田は敵陣21ヤードから一気にTDを狙うべくパスをコール。けっして簡単なパスではなかったが、WR中正が腕を伸ばして好捕、そのままエンドゾーンに転がり込んでTD、1TD差に迫った。
しかし、ここから富士通が地力の違いを見せつける。
QB月野が1stダウン狙いの短いパスをWR久保田へ。パスをキャッチしたWR久保田は、味方のダウンフィールドブロックにも助けられ、そのままハスキーズディフェンスを振り切り73ヤードのTD。
直後のハスキーズのオフェンスでは、DB植木がこの日2本目のインターセプトを39ヤードのリターンTDに結び付けて、さらに点差を広げた。
その後も富士通は1FG、1TDを加えて、前半を38−7と大きくリードして折り返した。
後半の富士通は、4年連続Xリーグリーディングラッシャーであるオフェンスの牽引車、エースRB森本に5度目の栄冠を渡すべく、ボールを集中する。
今シーズンは負傷もあって、いまひとつ精彩を欠いていたRB森本だったが、この日はチームの期待に応える。
3Q最初のオフェンスでは、粘り強いランでゲインを重ねてWR金田へのTDパスをお膳立てをし、直後のキックオフで、ハスキーズがファンブルをして得たチャンスでは、3回連続ボールをキャリーしてTDに結びつけた。
4Qも残り1分を切った状況で攻撃権を得た富士通は、RB森本に最後のチャンスを与える。
「全員の気持ちがひとつになっていた。チームメイトみんなが(リーディングラッシャーを取らせると)声をかけてくれた。勝てないフラストレーションがたまっていただけに、最高の終わり方が出来た」(RB森本)。
富士通のプレイヤー全員の気持ちがこもったプレーは、RB森本の83ヤード独走TDという最高の結果に結びついた。
結局、試合は富士通が80−14で完勝。注目のRB森本は29回のランで318ヤードを獲得。シーズン合計で、617ヤード獲得となり5年連続のラッシング王座に大きく近づいた。
RB森本は「(プレイヤーを)やめようか思ったこともあったけど、チームプレイの良さを改めて知ったので、中々やめられないですね」と語り、チームメイトたちと素直に喜びを分かち合っていた。
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