2004年Xリーグ開幕戦。鹿島ディアーズとIBM BigBlueの対戦は、地力で優る鹿島が終始リードし、45−14で完勝した。
試合が動いたのは、なんと開始直後のIBMキックオフ。
IBMのK井田がキックしたボールを、鹿島のKR生田がビッグリターン。エンドゾーンまで駆け込んで82ヤードのリターンTDを奪う。
このプレーで出鼻を挫かれたIBM。続くシリーズでも自らのタックルミスなどから、鹿島にTDを許してしまう。
このまま鹿島のワンサイドゲームになるかと思われたが、次のシリーズでは鹿島が立て続けにミスをすると、ここからは両チームのパントの応酬が続く。
IBMは、ショットガンからのパスを中心にオフェンスを展開するが、鹿島のブリッツディフェンスに対応できない。
一方、鹿島もボールコントロールオフェンスで時間を使おうとするも、思うようにランが出ない。
ライン間隔を変化させるIBM、QB笹野を投入する鹿島、と両チームともこの事態を打開しようすると動きを見せるが、IBMのDL、LB陣、鹿島のLB、DB陣と、両チームのディフェンスが踏ん張り試合は膠着状態が続く。
次に試合が動いたのは前半終盤。IBMは広いライン間隔のショットガンから、RB礒谷ランで鹿島ブリッツディフェンスの出足を抑えると、今度はパスでゲイン。
前半残り16秒。QB岡村がWR安田への31ヤードTDパスを成功させ、7点差として前半を折り返した。
これでIBMに「いける」という空気が流れた。しかし後半開始直後のオフェンスで、WR陣が立て続けにイージーなキャッチミスをし、相手に攻撃権を与えてしまう。
試合後、鹿島の森ヘッドコーチが「あのミスで救われた」と振り返ったように、ここから流れは鹿島へと傾く。
鹿島オフェンスは、OLの思い切りが良くなりランが出始めると、QB鈴木は落ちついたプレーでパスも立て続けに成功させ、毎シリーズ連続のTDを奪う。
何とか踏ん張りたいIBM。
KR神田のビッグリターンで、鹿島陣39ヤードまで迫ると、RB礒谷のランを中心にゲインを重ね、最後はWR天谷へのパスでTD。しかし鹿島の勢いは止まらず、続くシリーズでもTDを返されてしまう。
その後も、バランスアタックでボールコントロールをし、得点を重ねる鹿島に対し、キャッチアップを狙うIBMはパスを中心に攻める。
しかし、鹿島のLB比留間、LB牧内、DB佐野、DB栄、DB松本ら、ディフェンスの強力セカンダリー陣が素晴らしいカバーを見せ、IBMオフェンスをシャットアウト。
終わってみると、ダウン更新、獲得ヤード、攻撃時間、全てにおいて鹿島が完勝。
特に鹿島QB鈴木は24回試投、19回成功、288ヤードと、WR陣のキャッチミス等があったにもかかわらず、80%に近いパス成功率をマークした。
この完勝にも、試合後の鹿島・森ヘッドは「試合開始早々の2本のTDで気持がゆるんだ」と酷評。
しかし「怪我人が多く、ベストメンバーでないDLは苦しいと思っていたが、オフェンスが得点をしてくれたこともあり、IBMにランでドライブされなかったことが良かった」と、チーム全体で上手くフォローできていることを評価した。
そして最後に「なんだかんだでQB鈴木の落ちついたプレーに救われました」と、チーム大黒柱の働きぶりに改めて感謝をした。
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