秋晴れの9月11日。リニューアルした川崎球場こけら落としの一戦は、昨年は社会人チャンピオンの座にあと一歩と迫ったアサヒビールシルバースターと、新生・オール三菱ライオンズの戦い。
オール三菱は、キャプテンDB田尻をはじめ、バイス陣も若手へとチームのリフレッシュを図り、必勝態勢で臨んだゲームであったが、地力で勝るアサヒビールの前にあと一歩力及ばず、惜しくも金星をのがした。
序盤はパントの応酬で、互いの出方を探っていた両チーム。試合が動いたのはQタイムを挟む第1Qの最終シリーズ。
アサヒビールは、50ヤード付近からのオフェンスで、この日先発のQB金岡のリズミカルなプレーコールが冴える。RB伊是名、吉岡、花房がきっちりとゲインを重ね、先制TD。
ところがTPFキックのスナップが乱れ、パスプレーへとスイッチしたものの、オール三菱が落ち着いて守り、6−0とする。
ここですかさず、オール三菱が反撃。
この日がXリーグデビューとなる新人WR冷水が、キックオフのボールを一気に敵陣47ヤードまでリターン。期待の新人がいきなり見せた53ヤードのロングリターンに盛り上がるオール三菱ベンチ。
ショットガン体型からのRB遠藤へダイレクトスナップで前進を図るなど、アグレッシブなオフェンスを展開して、一気に敵陣深くまで陣地を進める。
最後はQB木目田が自慢の快足を活かし、自らのランプレーでTD。K戸谷がTPFをきっちり決めて、6−7と試合をひっくり返す。
一転、追う展開となったアサヒビールだが、WR井本のリバースプレーや、RB花房のパワープレーで80ヤードをわずか9プレーで前進。QB金岡が自ら走りこんでTD(TFPキック成功)。13−7と再逆転に成功。
このあとはLB天河、玉井らの好ディフェンスで追加点を許さず、試合は後半戦へ。
後半に入ると、やや強く吹きはじめた風の影響もあってか、両チームともパスの精度が落ち始める。
後半3シリーズ目、オール三菱に反撃のチャンスが回ってくる。敵陣44ヤードという好フィールドポジションを得ると、RB平野が一気に敵陣20ヤードまで進む。ここでQB木目田からWR村田への20ヤードTDパスが決まり、再々逆転。13−14とする。
このシーソーゲームに決着をつけたのは、この日大活躍のアサヒビールRB伊是名だった。
第4Q。敵陣36ヤードからのアサヒビールのオフェンス。ランプレーで丁寧に前進を重ねるが、ホールディングの反則をとられ、3rdダウン16と追い込まれる。
ここでとび出したのが、パスプレーを警戒するオール三菱ディフェンス陣の隙をついたRB伊是名のドロープレー。ダウンを更新し、このピンチをしのぐ。
オール三菱LB田尻、鷲井らの激しいディフェンスにも怯むことなく、最後はRB吉岡が中央のダイブでTD(TFPは失敗)。19−14と逆転につぐ逆転。
その後はオール三菱が必死の反撃に出るが、ここ一番でDL佐々木(康)のQBサックなどもとび出し、辛くも逃げ切った。
試合後、アサヒビールの深堀ヘッドコーチは「しんどい試合だった。特に今年はすべてのチームがウチを狙ってくることは間違いないだろうから、(例年のように)後半戦にむけて照準をあわせていくわけにはいかない。最終戦(対鹿島)の前に、FINAL6進出は決めておきたい」と、語った。
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