続く法政の攻撃を立命守備陣が2回の更新で押さえると、試合の流れは俄然、立命に移っていく。
自陣29ydからの攻撃を、TBをもブロッカーに使用するオプションからのQB川嵜のキーププレーや、効果的なプレーアクションなど、10プレーを費やして敵陣4ydまで迫る。
第1ダウンでRB杉山が3ydを稼ぎ、迎えた第2ダウンもやはりRB杉山がゴールに飛び込んでTD。18−17と遂に逆転に成功する。
2点ねらいのTFPは失敗におわったものの、立命のパワーと集中力が法政のスピードと個性を捻じ伏せつつあった。それが顕著になったのが続く立命の自陣34ydからの攻撃。
このシリーズ、立命は12プレーで法政を突き放すTDを奪うが、圧巻だったのは4回あった3rdダウンコンバージョンをすべて成功させていることだ。再三のピンチをRB杉山のドロー、WR松本へのプレーアクション、そして最後はQB川嵜のキーププレーで締めくくっている。
25−17。法政が悲願の単独制覇を果たすためには1TD以上の得点が必須になってしまった。しかし続くシリーズも立命の強力守備ラインの前に不発。3回の攻撃でパントを余儀なくされてしまう。
甲子園に棲む魔物はまたしても法政を見捨てるのか。誰もがそう思っていた時、魔物がその姿をあらわした。それまで大きなミスがなく、完璧に近い出来だった立命攻撃陣。自陣23ydからの攻撃。QB川嵜が持つボールに法政LB平本が襲い掛かる。まさかのファンブル。これを法政が押さえ、絶好のチャンスを得る。
今年こそ魔物を味方につけられるのか。法政はこの攻撃機会の第3ダウン残り9yd。QB木目田がTBにハンドオフのフェイク。過剰に反応する立命守備陣。TE上田がその裏に入り込む。QB木目田がこの日初めて放るパス。通ればTD。しかしボールはTE上田の指に掛かりながらも無情にもグラウンドに落ちた。法政は絶好のチャンスを逃してしまった。
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