OLとOLの間のスペースはギャップと呼ばれ、これがボールキャリアーのランニングレーンとなる。DLはそれぞれ自分が責任を持って守備するギャップがある。
図1は4−3守備隊形におけるDTがOGとヘッドオン(対面)で位置した例。この場合はDTの左右にギャップがあるが、守るのは通常どちらか一方。このほかOLと半身ずれたかたちで位置するシェイド、ギャップの正面にラインアップするギャップアラインという、アライメント(選手の配置)がある。
ボールがスナップされると同時に、DLはオフェンス側に向かって激しく突進する。パワーとパワーがぶつかり合う瞬間だ。このときDLは相手OLのブロックによって後退することだけは避けなければならない。最悪でもOLと衝突した位置を堅持し、プレーの方向を目で追う。プレーが自分のほうへ進んできたら、ブロッカーを外してボールキャリアーをタックルする。
インサイド(両OT間)のランプレーの場合、ブロックを完全に外すことができなくてもOLをキャリアーのランニングレーンへ押しこむことによって走路を妨害できればいい。行き場をなくしたキャリアーは横へ逃げるしかなく、その間に他の守備選手が集まってきてタックルすればゲインを最小限にとどめることができる。
オープンへのランプレーでは、ボールキャリアーにアウトサイドを回りこまれないようにDEがコンテイン(詳しくは後述)することが必要だ。
プレーをインサイドに追いやってLBやSFのタックルを待つことが最優先事項とされる。
LBをOLのブロックから守るというのもDLの重要な仕事だ。
DLのアライメント(位置)はOLに近いから、プレーを見極めてから、それに反応するのは難しい。そこでOLのブロックをDLが一手に引きうけて、LBをフリーにし、タックルをさせるという戦略が採られる。
DLが強くければ、OLはダブルチームブロック(二人のOLで一人のDLをブロックすること)を使ってくる。ダブルチームされたDLは、ボールキャリアーをタックルすることが難しくなるが、ブロッカーをひとり余分に受けることで、LBへのブロック要員を一人減らすことができるから、DLは十分に自分の仕事を果たしたといっていい。
【3】プレーメーカーとしてのLB
ラン守備におけるLBの使命は単純明快だ。「ボールキャリアーをタックルする」ことである。
言わばラン守備の主役だ。LBはDLがOLのブロックを受け止めてくれている間に、素早くボールキャリアに近づき、プレーを止めるのが仕事だ。だから決してブロックされて体のコントロールを失ってはならない。
LBはスクリメージラインから離れて位置している分、プレーを読んでから反応する時間が与えられている。ボールがスナップされる瞬間はゲームプランでデザインされた動き(マンツーマンやゾーンカバーを実行する動きなど)をするが、プレーの方向を見定めた後はボールキャリアーを止めるためにボールを追わなければならない。これをパシュート(pursuit)という。パシュートではボールキャリアーのスピードを計算しながらを、キャリアーのやや前方に最短距離で到達するコースを走る。
LBの反応は早いほどいいが、常にボールキャリアーのカットバックに備えておかなければならない。カットバックによってパシュートの逆を突かれる(オーバーパシュート)とロングゲインを許すことにもなるからだ。
プレーを読むためにLBは、自分のサイドのOGやOT、自分に近い方のRBをキーにする。このキーはチームのシステムによって異なるが、一般的にはDLにカバーされていない(uncovered)OLを第1のキーにすることが多いようだ。
図2の3つは、4−3守備隊形でOTがアンカバードの状態でのLBのキーの例だ。
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