Ｘリーガー vs 学生トップ選手対談「時代を超えて受け継がれる、オレ達のＩＳＭ」【富士ゼロックスJ-Stars×関西大学カイザース編】（２／３）

「未経験者がいい選手に育つのは、関大だからこそ」（宮城）

岸村：宮城さんが関大を選んだのはなぜですか？

宮城：強いチームと戦いたいと思ったから。大学に入った時は、ちょうど１部に上がって２年目。立命・関学・京大の３強がいて、そこに食い込もうと必死でやっていた時期やったから。

岸村：僕は高１の時に、関大が優勝して甲子園に行ったのを見ていて、関大に行きたいと強く思っていました。先生からは立命か日大を勧められたのですが「関大に行きたい」と押し通しましたね。

宮城：今も、大産大高から関大に進む選手はそれほど多くないの？

岸村：そうですね。高校の先輩は立命に進んだ人が多いです。大産大高出身の選手は今だと、毎年３〜４人ぐらいですね。全体では、関大一高フットボール部の出身が３〜４割、大産大高を含めたいろいろな高校の経験者が３〜４割、あとは未経験が３割ぐらい。

宮城：僕らの時も同じような感じ。３割ぐらいが一般入試で入ってくる未経験の選手やった。未経験者が育つのは、関大だからこそ。例えば立命なんかは、高校時代は未経験でも、他のスポーツのエリートだったりする。でも関大は、勉強で入学してから志願してアメフトに入ってきた選手が４年で幹部になったり、試合で活躍したりする伝統がある。

岸村：ちなみに宮城さんの時は、板井（征人）コーチはもういらしてましたか？

宮城：板井さんがいらっしゃったのが２年の時。そこからフットボールに対する取り組みはがらりと変わった。特に身体作りや、フットボールに対する姿勢や考え方。それまでは高校で教わったことの延長という感じやったけれど、まったく変わった。強いチームの取り組みはこうや、という感じで、練習はもとより食生活まで、全部。

岸村：食生活は僕も大学に入ってかなり変わりましたね。高校時代はめちゃ厳しかったけれど、食生活までは気を使っていなかったですし。そこは、大学に入って最初に変えたところです。

宮城：僕らが１年の板井さんが就任する前は、ミーティングをする時は関大前の駅前に売っているファストフードを食べながらミーティングするのが当たり前だった。そこに板井さんがいらして「これは何や？」という話になり、お店に弁当を頼むようになっていった。岸村：その弁当のシステムは今もずっと続いていますね。他に、心に残っている板井さんの教えはどんなことですか？

宮城：２年の時に、４年のＱＢの人とスターター争いをしていたんだけど、試合に出たり出なかったりだった。そこで板井さんに「なぜ僕を使ってくれないんですか？」と直訴してね。するとはっきりと「今の実力ではあいつの方が上や」と…。でも「お前は素質があるから、もっとグラウンドで自分のキャラを出して好きにプレーしたらいいんじゃないか。キャラクターをプレーに出せば、それがお前の色になる」と話してくれた。それが強く印象に残っている。今の板井さんの指導はどう？

岸村：自分の特徴を生かしたプレーをさせてくれますね。素晴らしい方だし、心の底から尊敬しています。

宮城：板井さんが何もかも変えてくれたのは間違いないね。自分の下の代が甲子園で勝ってくれた時は、本当にうれしかった。ちなみに今、練習は何時から何時までやるの？

岸村：４年生は15時から始めています。全学年がそろうのが16時15分で、16時45分から本格的にアップを開始して、17時からスタイルです。20時半ごろまでやりますね。終わったら21時過ぎからミーティングです。届いた弁当を食べながら22時までやって、そこから４年生だけで23時ごろまでミーティングします。４年生はだいたい学校の近くに下宿していますね。だから、僕も終電はないです（笑）。

宮城：僕らのころは４年生が下宿する習慣はなかったから、実家から通っていた。４年だけのミーティングもなかったね。システムが変わったんだね。

写真＝樋口涼　構成・文＝前田成彦（Office221）