アサヒ飲料チャレンジャーズ VS 松下電工インパルス |
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手に汗握る最終Qの攻防。LB山田の決勝TD! |
アサヒ飲料チャレンジャーズと松下電工インパルス。因縁のライバル関係にある両者にいよいよ雌雄を決する時がきた。 2年連続で同じ顔合わせとなった第15回東京スーパーボウルが12月18日(火)東京ドームで行われた。試合は両チームとも看板とする強力ディフェンス陣の奮闘と両者のライバル心が絡み合い最後まで目の離せない好ゲームになった。
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意外な形で先制点を奪ったのは松下電工だった。 試合開始直後シリーズの2ndダウン。まだ硬さの残るアサヒ飲料QB桂が、この日初めて投げたパスをCB野村がインターセプト。自陣49ヤードからの攻撃権を得る。 その最初のプレー、松下電工が選択したのはRB樫野が右オフタックルのラン。これはLB山田、河口を擁するアサヒ飲料があっさり止めたものかと思われた。 しかし。RB樫野は自分の目の前に出来た自軍OLと相手ディフェンス陣の人の山をスルリと抜け、オープンに走路を見出すとそのまま一気に加速。高々と片手を挙げてエンドゾーンまで走り抜けTD。 松下電工が試合開始わずか1分あまりで7−0と先制に成功する。
この得点を最後に両者のディフェンス合戦は次第にヒートアップしていく。
パントに終始した前半、両チームともドライブはおろか、ダウンの更新すらままならない状況が続いた。前半の間に両者が蹴ったパントは、なんと合わせて15回。
後半に入って先にペースを掴んだのは松下電工だった。お互いにパントを一回づつ蹴ったあと、松下電工は自陣39ヤードからのオフェンスを再三3rdダウンに追い込まれつつも、RB粳田のカウンターやWR古本へのパスでしのぎ、ダウンを3回更新してゴール前23ヤードまで迫る。
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この息詰まるディフェンス戦に大きな風穴を開けたのはアサヒ飲料だった。 第4Q。アサヒ飲料は自陣41ヤードydからオフェンスを開始する。ここでもQB桂が果敢にパスを試みるが6ヤードを残し、敢えなく4thダウンパントに追いこまれてしまう。 しかしここで、パント体型からスナップされたボールをパンター田中がWR桃澤に絶妙のピンポイントパス。これが見事に成功し、一気に敵陣34ヤードへ。 続けてこの勢いにあと押しされたRB中村(多)がスイープで大きくゲイン。松下電工のタックル後の反則もあってボールはゴール前8ヤードに置かれる。
たまらず松下電工はここでタイムアウト。「タッチダウン」コールに沸くアサヒ飲料応援席。「ディフェンス」コールに沸く松下電工応援席。タイムアウトが解かれプレー再開。 同点になったとはいえ、お互いにディフェンスチームが試合を支配していることに変わりはなかった。パントの応酬が続き、時間だけが消費されていく。
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しかしこの試合を象徴すべく、決勝点を奪ったのはそのディフェンスチームだった。 残り時間3分を切ろうかという時間で松下電工は自陣14ヤードからの攻撃権を得る。RB粳田のラン、WR下川へのパスが不発に終わり、3rdダウン10を迎える。 松下電工にとって実にこの日19回目の3rdダウンコンバージョン。右にスプリントアウトしたQB高橋(公)がパスターゲットを探す。アサヒ飲料LB河口がブリッツに入るのを感じていたのだろうか。アクロスを走るWR塚崎にターゲットを定め、パスを放る…。 その瞬間、ボールに飛び込んできたのはLB山田だった。LB山田はパスを奪うとそのまま誰もいない左オープンを駆け抜けTD。我慢に我慢を重ねたアサヒ飲料ディフェンス陣が自らもぎ取った逆転のTDだった。
だが試合はまだ終わっていない。
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1stダウンではパス失敗。反則もあり2ndダウン15。ボールオン19ヤード。残り8秒。
全ての状況があの時に酷似していた。97年甲子園ボウル、QB高橋の奇蹟。それを知る松下電工ベンチはその再現を願い、アサヒ飲料ベンチはフィールドの選手たちを信じた。
残り3秒、最後のプレーにこの試合の全ては委ねられた。 東京スーパーボウル史上稀に見るディフェンシブゲームはアサヒ飲料に軍配。社会人王座連覇を果たした。社会人王座連覇は奇しくも94、95年シーズンの松下電工が果たして以来のことであった。
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