「勝負強さ」とは何か。 今年のアサヒビールシルバースターは、それを知っているチームであろう。 リーグ開幕戦ではクラブハスキーズに70−0と大勝したものの、第2節でオンワードスカイラークスに完敗。開幕早々、あとがない状況に追い込まれた。 しかしアサヒビールは、そこから這い上がってきた。 第4節ではパールボウルの覇者・富士通フロンティアーズを相手に、前半を14−0とリードを許し、FINAL6進出は断たれたかと思われた。 が、後半に入ると抜群の集中力を見せる。QB金岡のパスを中心に反撃を開始。RB吉岡、WR梶山がTDを奪って同点とすると、ディフェンス陣は、ベストRB森本を擁する富士通のグラウンドアタックをシャットアウト。 最後に富士通が得た勝ち越しのチャンスも、LB山下のインターセプトで断ち切って、引き分けに持ち込み、「後半のアサヒビールは素晴らしかった」と、富士通のカート・ローズヘッドコーチに言わしめた。 |
結局、この「勝ちに等しい引き分け」(アサヒビール・深堀ヘッドコーチ)が決め手となって、FINAL6に進出することとなった。 FINAL6初戦では、今季CENTRAL全勝優勝の鹿島ディアーズと対戦。 試合開始早々にフィールドゴールで3点を失うものの、その後はゲインは許しても、追加点は決して許さないディフェンスで、粘りを見せる。 試合残り時間4分半。自陣25ヤードまで鹿島に攻め込まれ、試合を決める追加点を奪われるかと思ったところでDB米田がインターセプト。 このワンチャンスに、それまで鹿島ディフェンスに抑えられていたオフェンス陣が奮起。RB中村(友)、花房、伊是名のRBトリオのランで、TDに結びつけ逆転に成功する。 「相手の勝負強さが上回った。ワンチャンスを確実にものにする集中力、要所でのターンオーバー、ベテランの頑張りがアサヒビールに勝利をもたらした」と、鹿島の森ヘッドコーチを悔しがらせた。 |
FINAL6準決勝では、西のパワーハウス・松下電工インパルスと対戦。 この試合でもWR梶山のビックプレーなどで先手を取ると、ディフェンスは相手の4回ファンブルを3回リカバーし、ことごとく追加点に結びつける。 「一番の敗因はファンブル」(松下電工・村上監督)と、王座奪回に燃えるWEST王者を自滅に追い込んだ。 「ディフェンスはよく我慢した」と深堀ヘッドコーチ。 オフェンスが得点をあげられない状況でも、相手にリードを許している状況でも、集中力が途切れず、チャンスに結びつくターンオーバーを果敢に狙い続ける。ゴール前までに迫られようとも、決して諦めずに粘りを見せる。 このディフェンスこそが今年のアサヒビールの「強さ」。 そして、そこから掴んだ僅かなチャンスを、確実に得点に結びつけるオフェンス。 QB金岡を始め、WR梶山、RB吉岡、OL寺山ら、ベテランプレーヤー達が要所で見せる凄まじいまでの集中力こそ、アサヒビールの「勝負強さ」だろう。 大接戦となったジャパンエックスボウルでは、あと一歩及ばなかったものの、「CENTRAL、WESTのチャンピオンに競り勝って、ここまでこれたのは次につながる大きな成果」と、深堀ヘッドに悔いはない。 「またね、もう一回り大きなチームを作ってきますよ」(阿部監督)と、苦しいシーズンを終えたアサヒビールが、新たなスタートを切った。 |
FINISH RESULT 2003 | ||||
9月11日 | ○ | 70- 0 | vs クラブハスキーズ | |
9月22日 | ● | 7-24 | vs オンワードスカイラークス | |
10月 5日 | ○ | 45- 7 | vs 東京ガスクリエイターズ | |
10月18日 | △ | 14-14 | vs 富士通フロンティアーズ | |
11月 2日 | ○ | 17- 6 | vs 日産スカイライナーズ | |
FINAL6 | 11月16日 | ○ | 7- 3 | vs 鹿島ディアーズ |
FINAL6 | 11月29日 | ○ | 21-14 | vs 松下電工インパルス |
JAPANXBOWL | 12月16日 | ● | 10-13 | vs オンワードスカイラークス |
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