「初めて見たフットボール ● 開幕戦観戦ノート」


 読者の皆様からご好評頂きました初心者観戦コラム『フムフムフットボール』のシリーズ第2弾!
 今回は大井第2球技場と東京ドームの開幕戦を見に行きました。
Photo&Text by 鈴木菜穂子(会社員)  


 フットボールシーズンが開幕しましたね。
 …とは言っても、実は素人の私には、シーズンはいつからなのか?全然わかっていませんでした。

 前回の『パールボウル観戦ノート』で「今年はフットボール観戦にちょっと通ってみよう、と思った日になりました」なんて書いたのが良かったのでしょうか。またまた生でフットボールを見に行く機会に恵まれ、9月16日と17日の2日間に、なんと3ゲームも見ることが出来ました。

 ではさっそく観戦の話ー、といきたいのですが、先にも書きましたように、私には「フットボールのシーズン」と言うものがわかりません。
 野球は春に開幕、夏を中心としたシーズンと、冬のオフシーズンに別れています。サッカーは「○○カップ」などなどで、結局は1年中やってますよね。ではフットボールは?
 フィールドでやるスポーツなので、やっぱり夏なのかしら?と単純に思っていたのですが、実はこれからが「秋本番」らしいのです。9月に開幕して、11月上旬までリーグ戦。その後はディビジョンごとの上位2チーム同士で決勝トーナメントがあって、12月18日に社会人選手権決勝になるのだそうです。

飛行機とボールと声援の飛ぶ大井第2球技場

完全復活したと言われる東野選手
 それらの予備知識をお勉強してから、やっとお出かけであります。私が観戦しました試合は、日曜日の大井第2球技場の2試合と、月曜日の東京ドームの1試合でした。
 大井第2球技場は、なんだかアットホームな感じで芝生に座ったり、お弁当を食べたり…。日曜日に家族で見にくるにはとても良いところだな、と思いました。
 この日はお天気もまずまず。羽田空港が近いこともあって大きなジェット機が降りてくるのが近くに見えますが、ジェット機の音はそんなに気になりません。もちろん、チアリーダーさんやお客さんの応援の方が大きいという事もあるのでしょう。

 今回の注目はアサヒビールシルバースターの東野選手(19番)でした。これはウケウリなのですが、復活した東野選手を見たい!と皆さんが云っておられるので、私もそのプレーを楽しみにしてきました。
 ところで私は、学生時代は野球が大好きで自分でも少しやっていたのですが、そういう目から見ても、東野選手のボールを投げる動作はカッコいい!相手に吸い込まれるようなボールを投げるのですねー。
 フォームも綺麗ですしね。ゲーム前の練習で、東野選手がボールを受け取ると投げるところが見たくって、ついつい注目してしまいました。
 結局、東野選手は前半しか出ませんでしたが、とにかく練習の時から目を引く選手でした。

TVカメラも花田選手をがぶり寄り

花田選手を撮るために取材民族大移動
 翌月曜日、東京ドームで行われた試合は、練習の時から妙にざわざわした雰囲気がありました。
 そうです。お相撲さんを引退した後、オンワードスカイラークスに入った若乃花さんがいたのですね。そしてその花田選手(40番)を追いかける記者の方が大勢…。それはそれはすごい事になっておりました。

 さて、ここでちょっと私が個人的に納得してしまった事があります。
 前回の観戦レポートで、ゲーム中に選手がサイドラインに突進してくるので、審判さんやカメラマンさんは逃げるのがうまくないと駄目ですよね、と書いたと思いますが、今回それがとてもよく分かる事がありました。
 この日は、取材のTVカメラが多く入っていたのですが、その方達は三脚で撮っていたのですね。この三脚+TVカメラは「逃げる」のにはチト重たいようです。だからTVカメラ取材の人達は2人一組でやって来て、逃げるときはアシスタントさん(?)と一致協力して、ササッと逃げる。なるほどここにもプロのチームプレーが。。。
 よく見ると写真のカメラを持っている人は、足が1本なのですよね。だからこちらの皆さんはおおむね単独行動です。

 この違いを妙に納得してしまったのですが、よろしければ次に試合を見る機会があるときは、そういうトコを見てみるとフムフムしてしまうかもしれません。

サイドラインにも沢山の報道陣

三脚と一脚のちょっとした違い
 私自身は、お相撲さんを近くで見るのが初めてだったので、さぞかし大きな人なのだろうと思っていたのですが、実際に花田選手を見た時「あれ?」と思ってしまいました。でもこれは間違いなのであります。
 フットボールの選手は、皆さんとても体が大きいのですね。だから花田選手といえども、その中にいるとそう変わらないように見えるのですね。
 だって、背丈で比べるとオンワードスカイラークスのジョージ選手(1番)の方が大きいのですもの。身長195cm(!)との事で、私と比べたら40cmも上に頭のてっぺんがあると言う事なのですよ。
 うーん。すごいなぁ。家にいると高い所の物を取ってもらえるから助かるかもしれないなぁ…と思ったりして。

 東京ドームでは、試合の始まる前に入っていたので、選手とチアリーダーさん達の雰囲気をちょこっと見ることができました。
 LIONSのフィールドに出る前のウォーミングアップ風景を見る事ができたのですが、選手の方達がいい感じでリラックスして、早くゲームしたいなー、と言う雰囲気が感じられました。
 フィールドに上がる階段の上に、ちょこんと置かれていた「勝利のライオン」君が可愛く見守っていました。

LIONSの「勝利のライオン」君

緊張感に見ている方もつい息を止めてしまいます
 前回パールボウルを見ていてなんとなくですが、流れが分かってきた私は、今回は意外と余裕を持ってみる事ができました。
 「今のプレーって、『インターセプト』って言うのですよね?」
 「あとちょっとでタッチダウンですよね?」。わかった事については自信持って確認しちゃったりしています。
 「『インコンプリート』ってナンですか?」。一方で分からない事はスグに聞いちゃったりして…。

 だけれど、審判さんが黄色いハンカチをなげる時(反則があった時)は、なにがどうなってしまったのかは、いまだにわかりません。
 一度地面に落ちたボールを相手選手が拾って走り出したり、それが出来なかったり、どこがどう違うのか分かりませんでしたし、相手の反則があって、それを「貰わない」(え?)と言う判断ができることなど…、まだまだ奥深く感じた今回の3ゲームでした。

 それでも素人目には…(こんなこと云っていいのかな)、審判さんが黄色いハンカチを一斉に投げるのって、ちょっと見た目には楽しいですよね。
 目の前で起こった反則での出来事ですが、審判さん達がまるで怒ってるように(そんなことはないのですが)、一箇所に何枚もポイポイって投げるので、私も何か投げないといけないのか、と思ってしまいました。

オフェンスとディフェンスの交代

審判さんが一斉に投げた黄色いハンカチ
 おそらく。
 初めてみる人達にとって「フットボールってわからないなー」と思うのは、オフェンス(攻め)とディフェンス(守り)が、最初は判らないからだと思うのです。野球などは攻めと守りがはっきりしている球技の典型例ですよね。バスケットやサッカーなんかもなんとなく分かります。
 でもフットボールは、どうしてスグにプレーが止っちゃうのかな?って思う人もいるだろうし、どうやったら得点が取れるのかな?って思う人もいると思うのです。じっと見ていてもわかりづらいのですよね。

 私が面白いなーと思ったのは、試合中でも何回も選手の交代があることでした。野球でも、サッカーでも、一度交代したらそれで終りです。交代する人数が決められているものもあります。でもフットボールは違うのですよね。

 気がつくのが遅い!って言われるかもしれませんが、オフェンスとディフェンスの専門の人がいることも知りませんでした。だから、攻守が入れ替わったら選手も大勢移動してチェンジします。
 最初はどうしてかな?と思っていたのですが…、なるほど。ボールを持って攻める人は敏捷性があり、足の速い人がいいでしょうし、守り専門の人は重厚で力のある人が向いています。
 フットボールは、まるで一つの組織(または都市)のようなスポーツなんだな、と感想を持ちました。

 ちゃんとそれぞれが自分に合った役割を持って、それで協力しあって力を出しているのです。
 ついボールの行き先を見てしまいがちですが、よく見るとそれ以外の選手が自分の役割を果たす事で、全体のプレーに繋がっているのですよね。一人一人が集まって一つになっていると言いましょうか…。
 そういう面では役割のはっきりしたお仕事で構成されています。そんな事に気がついたら、こんなに奥が深くって複雑なスポーツはないかも…と思えて、ちょっと感動してしまいました。


 今回ちょっと余裕のあった私は、前回気がつかなかった人を発見してその仕事に注目してしまいました。「ウォーターボーイ」と呼ばれる人達です。(映画にもなったそうですね)

 この人達のお仕事は、試合中にタイムアウトという休憩が入った時に(戦略的にも取るのだそうです)飲み物の入った籠を持って走ります。このタイムアウトは、試合の前半、後半とも両チームに3回づつ与えられている権利だそうです。
 ウォーターボーイ君達は、この時だけはフィールドに入る事ができるのであります。相手の権利も合せると、1試合で計3回×2(前半後半)×2(両チーム)=12回のお仕事があるので、その時はウォーターボーイ君達の見せ場になるわけです。
 チームによっては、女の子のウォーターボーイ(ガール?)さんもいて、重たいジュースの籠を持ってパタパタと走っておられました。選手が控えている横では、タンクで作った大量のジュースを、容器に移し換えたりして結構忙しそうです。

 でもとても楽しそうにしている姿が印象的だったので、ついつい写真もぱちり…、と。

ウォーターボーイのお仕事

こういうトコが「団体格闘技」
 それにしても東京ドームでの試合は面白かったです。
 前半を終えて五分五分。LIONSの方がすこし優勢です。このままLIONSが勝つかなー?と思いつつ。実は私、いつも知らないうちに負けている方を応援してしまっているので、オンワードスカイラークスの反撃をひそかに注目していました。
 後半になって、オンワードスカイラークスが逆転!それでもじりじりとした試合でしたので、ついつい見ている方も力が入ってしまいます。
 素人の私がこれはすごい!と思ったのですから、いつも見ている皆さんはもっと面白かっただろうと思います。

 フットボールってホントに力強いスポーツですね。格闘技みたいだとは思っていましたが、これはやっぱり『団体格闘技』。うーん。女子だけのサッカーとか野球があるのだから、女子フットボールってあるのかな?と、ちょっと興味を持ったりして…。

  ※編集部注:社会人準加盟に女子フットボールチームが2チーム(レディコング、ワイルドキャッツ)あります