「初めて見たフットボール ● 東京スーパーボウル観戦ノート」


 大好評の初心者観戦コラム『フムフムフットボール』のシリーズ第3弾!今回は東京スーパーボウル特集です。

Photo&Text by 鈴木菜穂子(会社員)  


 東京スーパーボウルを見てきました!と、お話する前に…。

 その前の12月1日、横浜スタジアムで行われたFINAL6「鹿島vsアサヒ飲料」戦も見てきました。しかもその日は私にとって初めての体験。隣りに解説する人なし!という状況で一人出かけてきたのです!(そんなに大袈裟なものじゃないかもしれないけれど。。。)

 でもですね。なんと一人でも十分観客の皆さんの波に乗れているのですよ(注:一部を除いて)。すごくおもしろく見させていただきました。
 席はどこに座ろうか決めてなかったので、最初は鹿島側に座っていて、第3クォーターからはアサヒ飲料の方に移動してみました。両方から見てみると、チームの観客層とか雰囲気とか判りますものね。
 屋外という寒い条件にもかかわらず、お客さんは結構入っておりました。会社の人らしきおじさんの集まり。学生さんの姿も多くみました。また家族連れの方も多く、会場の雰囲気はとてもよかったです。

 さてさて試合結果は…。アサヒ飲料の逆転勝ち。
 これで、同じ日に大阪長居球技場で試合をして勝った松下電工との決勝戦が12月18日に東京ドームで、という事になりました。

 前回、『初めて見たフットボール ● 開幕戦観戦ノート』で、「9月に開幕してリーグ戦が11月上旬まであって、その後は決勝トーナメント・・・」と書いたのですが、いよいよ今日がその決勝の日です。
 このあとは新春1月3日のライスボウル。勝ったチームが学生の優勝チームと対戦するそうです。(だんだん仕組みが判ってきました)


ライトアップされたドーム前

チアリーダーさん達によるウェルカムダンスショウ

 当日18日の東京ドームはすごく盛り上がっておりました。
 会場外では大きなバルーンがライトアップされ、クリスマスのイルミネーションとあいまってとても綺麗です。会社帰りの人はもちろん、夜にもかかわらずお子様連れの姿も見られました。
 試合前のお祭りのようなうきうきした感じがあって、こういうのはいいですね。NFLエクスペリエンス会場の一角では花田選手のインタビューがあり、人だかりが出来ています。
 また22番ゲート前では、恒例のチアリーダーさん達によるウェルカムダンスも始まりました。


たくさんのお客さんと報道陣

テレビの生中継中。静かに。静かに。。

 ドーム内は決勝戦と言う事もあってか、どちらのチームも人がたくさんはいっております。報道陣の方も多くて、記者さんとかカメラマンさんがいっぱいです。
 毎回私も会場の様子や選手の方々の様子を写真に撮ってここに載せておりますが、カメラクルーの人たちって、身体の大きな人が多いのですよね。その中に潜り込んで撮るような形になってしまいました。

 実は、私のその身長がちょっとお得だったりします。
 記者さんが大勢で一人の選手を取り囲んでインタビューしたりしますよね。そこでちょっと出遅れてしまうと、輪の外になってしまって、選手の声が聞こえなくなってしまうのです。
 でも私の場合、大きな皆さんの下の方に頭を突っ込むとなんと全部聞こえる状態になるのですよ。前回の花田選手のデビュー戦の時も、そして今回も、記者さんがいっぱい囲んでしまっている選手の声や写真を、ちゃっかり拾うことができちゃったりして。
 私の他にも女性で小柄な記者の方とかいらっしゃったのですが、もしかして反対にお得なのかもしれませんね。


(私が勝手に)注目のLB#31山田選手

山田選手が指示をトバしているトコ

 私自身は12月1日の横浜スタジアムの試合で、初めて山田晋三選手のプレーを見ました。
 とにかくすごい!シロートの私が見ても、十分に分かるくらいにすごいんです。…なんて、私なんかがいまさら言わなくってもきっと皆さん「あたりまえだ!」って感じられると思うのですが、ここを読んでくださっているのは、私のようなフットボール初心者の方だと思って説明しますね。

 フットボールにかぎらず、スポーツというものは、頭の回転もよくないとダメだと思うのですよ。一瞬の判断と、瞬発力。一つのことをやりながら、もう次のことを考えて行動に移れる。そんな、その場に対応した判断と動き。そういうものがあいまって良いプレーになると思うのですよね。
 山田選手のプレーはまさにそれなんです。試合中によくそんなところまで見ているなー、と思うコトが多いんですよね。個人のプレーをこんなにじっくり見たことはなかったのですが、今回はすごく注目させていただきました。


MVPをとった山田選手のインタビュー

MVPに贈られる(なんと!)木でできたボール

 さてその山田晋三選手ですが。なんとMVPをとってしまいました!
 MVPに贈られるボール。よく見ていただけるとわかると思うのですが、木でできております。持ってみるとコレが重たい!とてもよくできていて、ちょっと…ほしくなっちゃったりして。

 ところで今回、この「フムフム」のネタとしてインターセプトについてお話しようと、ひそかに思っていたのです。そうしたら、まさにそのインターセプトで決勝点をあげたのが山田選手だったのでした。(やられたー!)

 フットボールを初めてみた人の「壁」の一つであり、また判るととてもかっこいいプレーがこの「インターセプト」だと私は思います。どの解説書を見ても同じように「守備と攻撃が一気に変わる」と書いてあると思います。
 でもこれだけじゃ、わっからないですよね?「ふうん。そうなんだー。」って思っていても、実際に理解できてないと思うのですよ。実は私がそうでした。(きっぱり)

 そこで最近ちょこっとダケ判ってきた(?)私が、私流にお話したいと思います。

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トランプの兵隊さんのようなチェーンクルー
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「ファーストダウンテン」と言う言葉を聞くことありませんか?

 いきなり「インターセプト」について話すのは無謀なので、まず始めに説明しなければいけないのは…。上の写真の「不思議の国のアリス」に出てきそうなトランプの兵隊のような格好をしている人達(チェーンクルー)のことを交えてお話したいと思います。

 この▼から▼までは、10ヤードの距離があります。そしてこの10ヤードを4回の攻撃で進むことが出来れば、また新たに4回で10ヤードの攻撃をする権利がもらえるわけです。これを「ダウン更新」とか「ファーストダウン獲得」っていうそうです。

 このトランプの兵隊さんのところを見てみると、「3」とか「1」とか書かれたボードを持っている人がいると思います。(画像をクリックすると、写真が大きく出てよくわかると思います)
 これが、「4回攻撃の内、3回目」とか「4回攻撃の内、1回目」とかになるわけです。

 そうして少しづつ相手のエンドゾーンへと近づいていくわけですね。もちろん、ボールをもって一気に相手守備を突き抜けてもいいのです。まずこれが「最初にこれだけは知っておきたいこと」ですね。

 ここまで理解できたら次です。判らない人は深呼吸してもう一度読みなおしをしましょう。

 その4回の攻撃には、いろいろあるわけですよ。
 ランでじりじり2〜3ヤードづつ進んで行くものとか、パスでイッキに進むものとか。攻撃4回目で「とても10ヤードには届かないなー」と思われるときは、ボールを大きく蹴って自分のエンドゾーンから少しでも遠くに敵を追い払います。
 これは「パント」というのですが、ボールを蹴ると攻撃終了となります。

 よく場内解説で耳に入ってくる「パス成功」とか「パスインコンプリート(パス失敗。なんで失敗の場合だけ英語なのかな…?)」って言うのはパスをしたプレーに対して言っているのですね。
 パスを味方が捕って成功すれば、その分進んだ事になるのですが、味方が落としたりして失敗すると元の場所から進めなければいけないわけです。(そういう見方をしてみると、やっぱり自分の陣地を広げて行くゲームです)

 このパスの時。味方ではなく、空中で敵がボールを奪い取ってしまった場合。
 バスケットボールなどでありますよね。パスをカットしてそのまま持って行ってしまうプレー。あれと同じことなのですが、これをフットボールでは「インターセプト」ってカッコイイ名前で呼んでいるのですよ。
 バスケットより守備と攻撃がはっきりしているスポーツだけに、がぜん盛り上がってこの逆転の状況に会場がわくわけですね。

 相手が何回目の攻撃だろうとそこでいきなりの攻守交代。今回の山田選手のように守備の選手がそのままエンドゾーンまで走って、タッチダウンも出来るのです。


プレーを再開する前の作戦会議中その1「あと22秒」
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プレーを再開する前の作戦会議中その2「あと8秒」

 それともう一つ。「それも疑問に思ってたのー」と友達にいわれたので、書いておきますと。

 電光掲示板で「25」からカウントダウンされていく大きな数字が書かれているもの。これが初めてフットボールを見る人には、大きな謎のようであります。
 実際に私も初めて見た時には、なんだろう…?と思ってスグに聞いたのですが、今回はなんと説明できちゃったんですねー。私ってば。(えっへん!)

 いろいろなところにも書いてあるでしょうから簡単に説明しますと、これって攻撃を25秒以内に開始しなければいけないってルールがあって、その時間を計っているものなのですね。
 攻撃をする時や守備を行う時。それぞれのチームでああしようこうしようって、相談して決めるようなのですが、それがなかなか決まらない時って、この25秒を越えてしまうことがあるんです。
 そうすると、ペナルティとして5ヤード後退してしまうんですよね。もちろんその分エンドゾーンからも遠くなりますからつらいわけです。
 ・・・と、説明したら「なるほど!」とわかってもらえました。


ハーフタイムショウ「ラインダンス」

ハーフタイムショウ「合同チームによるショウ」

 フットボールの試合で楽しみなものの一つにハーフタイムショウがあります。私が学生時代に、友だちに勧められて見た本場アメリカの試合では、有名な歌手が出演したりして盛り上げていました。
 Xリーグの試合では、ハーフタイムショウで両方のチームのチアリーダーさん達が、交代にそれぞれの演技を見せてくれます。この日は決勝と言うこともあって、全チームのチアリーダーさんが集まって、とても迫力のあるショウを見せてくださいました。

 フットボールの試合会場って、ものすごく緊張感のあるものなのです。選手の緊張感や集中力が伝わってきて、その場の空気が震えているように感じることもあるんです。

 その中にチアリーダーさんの華麗なショウがあって、ほっと息抜きをする場も持てる。全体で「一つの舞台劇」を見ているように、思えることさえあります。
 もちろんこれは、試合会場にいないとわからないことなんです。

 関西では学生リーグのテレビ放送も多いそうですが、関東ではたまにしかテレビで放送してくれないのですよね。でもそういうのを自分の部屋のテレビで見ていても、やっぱりちょっと違うんです。

 私自身がすごく嬉しいのは、今年はじめてフットボールをちゃんと見るようになって、最初はまったく判らない状況でいたのですが、シーズンが終る頃には一人で見ていても判るようになっていたんです。
 最初に「一部を除いて」と書きましたが、反則以外は大体わかるようになりました。

 この反則だけは、難しくっていまだに判らないのですよね。

 この日も、私たちの後ろに座っておられた関西からのお客様らしいおじさま3人組がすごかったんです。
 観客席からの遠目にもかかわらず、審判さんが黄色いハンカチを投げるより早く、「おー!いまのは○○や!」とか反則の名前を言っておられるのですよ。(しかもご明答!)
 その上、「この反則はとらへんやろー」とか、その後のチームの判断まで…。

 一方で私は、審判の人が黄色いハンカチを投げるところを見つけるだけで精一杯です。地面に落されたハンカチで「あれ?反則があったんだ」ってやっと気づくありさま。うーん。まだまだですねぇ。

 そんな面がありつつも、今回はじめて見に来た私の友だちに説明できたってことは、自分でも感動でした。私自身がそうだったように「説明してくれたからすごく良く判った」「面白かった」って喜んでもらえたのです。
 やっぱりフットボールは、多少なりとも知っている人と一緒に来て、最初は教えてもらいながら観戦することが一番の早道のようです。

 そして「これだけを知ってればなんとなく判る」って言うポイントを見つけたような気がしました。私にとって「フットボール観戦」という新しい趣味が出来たのは、とても有意義なことだったと感じています。

 これを読んでくださっている方で、まだ実際に「ナマ」のゲームを見たことがないと言う人は、是非是非、試合会場に足を運ばれることをオススメしたいです。
 スタジアムのあの盛り上がった雰囲気も楽しいですし、そこで売っている食べ物をいろいろ買って食べるのも楽しいものです。もっとも私の場合、最近ではそちらも大きな楽しみの一つになっていたりしますけれど・・・。