意外な形で先制点を奪ったのは松下電工だった。
試合開始直後シリーズの2ndダウン。まだ硬さの残るアサヒ飲料QB桂が、この日初めて投げたパスをCB野村がインターセプト。自陣49ヤードからの攻撃権を得る。
その最初のプレー、松下電工が選択したのはRB樫野が右オフタックルのラン。これはLB山田、河口を擁するアサヒ飲料があっさり止めたものかと思われた。
しかし。RB樫野は自分の目の前に出来た自軍OLと相手ディフェンス陣の人の山をスルリと抜け、オープンに走路を見出すとそのまま一気に加速。高々と片手を挙げてエンドゾーンまで走り抜けTD。
松下電工が試合開始わずか1分あまりで7−0と先制に成功する。
この得点を最後に両者のディフェンス合戦は次第にヒートアップしていく。
RB中村(多)のランプレーに活路を見出そうとするアサヒ飲料オフェンスに、DL脇坂、兎耳山、LB霊山、DB野村らを中心に多彩な仕掛けを見せる松下電工ディフェンス陣が襲いかかる。
一方、アサヒ飲料ディフェンスも河口、山田の両「プロLB」ばかりでなく、DL加藤らがスピード感溢れるプレーで松下電工QB高橋(公)にプレッシャーをかけ、RB樫野、粳田らのゲインを全く許さない。
パントに終始した前半、両チームともドライブはおろか、ダウンの更新すらままならない状況が続いた。前半の間に両者が蹴ったパントは、なんと合わせて15回。
敵陣に進んだのは最初の松下電工のTDシリーズを除いては両者とも1回ずつ、2回以上続けてダウンを更新したシリーズはなし、という状況がディフェンス合戦の激しさを物語る。
後半に入って先にペースを掴んだのは松下電工だった。お互いにパントを一回づつ蹴ったあと、松下電工は自陣39ヤードからのオフェンスを再三3rdダウンに追い込まれつつも、RB粳田のカウンターやWR古本へのパスでしのぎ、ダウンを3回更新してゴール前23ヤードまで迫る。
しかし、ここでもアサヒ飲料DE古河の活躍や、ブリッツなどでゲインを奪えず結局はパント。松下電工応援席からため息が洩れる。
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