就任1年目の高橋ヘッドコーチが率いるアサヒ飲料チャレンジャーズ。今季は初戦から厳しい船出となった。 相手の周到な準備があったとはいえ、Xリーグ復帰初戦のファイニーズフットボールクラブに、あやうく足元をすくわれそうな戦いぶり。王座奪回を目指すチームとして、その前途が不安視された。 しかしこの苦戦が中堅、若手選手を中心に危機感を生んだ。ベテラン勢の堅実なプレーぶりともうまく相乗し、以降は試合を重ねる毎に、チームの雰囲気が向上していく。 リーグ戦5試合を経て、アサヒ飲料は戦う集団へと変貌を遂げていた。 1点差で惜敗した松下電工インパルス戦の終盤で、同点を狙わず、あえて勝利を貧欲に目指すプレーを選んだのは、チーム一丸のチャレンジャーズらしさが戻ってきたことを確信させる選択だった言えるだろう。 |
オフェンスは、数年来取り組んできたゾーンブロックからのランアタック精度が上がってきた。OL平本を中心とするOL陣のコンビネーションとRB陣のタイミングが合い、最も距離の計算が出来るプレーとなっている。 そのアサヒ飲料のゾーンブロックを熟知する男、RB中村(多)が、膝の靭帯を痛めた怪我から本格復帰を果たした。 第3節のアズワンブラックイーグルス戦で、2001年のライスボウル以来となるTDを決めて、復活の狼煙をあげ、ラン獲得ヤードでは、RB杉山に続きチーム2位の212ヤードを稼いだ。 本人は「本調子までには程遠い」と、おどけてみせるものの、相手ディフェンス陣を引きずりながらエキストラゲインを稼ぐその姿は、相変わらず圧巻だ。 そのRB中村(多)を師とあおぐRB椎木の成長も頼もしい。ゾーンブロックからのランに関してはRB杉山、瀬畑を差し置いて、フィットしている感すら出てきた。 エースQB桂はこれらのランアタックを軸に、プレーアクションのパスを、WR梅田、桃澤らレシーバー陣に要所で決めてくる。QBスクランブルでも冴えを見せ、オフェンスのバランスはすこぶるいい。またパスではTE河合もキーとなるだろう。 |
一方、ディフェンス陣でもベテラン勢が元気だ。 DL加藤、宮原と中堅スピード派のDL陣の中で、DL河島のクレバーなプレーぶりが安定感を生む。 LB陣では、「フィールドでの存在感が違う」と高橋ヘッドコーチの信頼も厚いLB河口がリーダーシップを発揮し、システムを越えた動きで、常にボールに絡む超人的な働きをみせている。 最後の砦には、XリーグWESTナンバーワンSFのDB大島が控え、ベテランを中心にしたディフェンスユニットの守りは堅い。 最後にキッキングチーム。リターンでは天性のスピードとクイックネスで独特の好リターンを見せるKR横山に加え、新人WR末方も好リターンを連発し、オフェンスにいいフィールドポジションの提供している。 最後まで課題となったのは、やはりFGでの得点力。試合巧者アサヒビールシルバースターとのFINAL6では、この僅かな差が勝負の決着を左右しただけに、来季に向けてより一層の向上が期待される。 |
FINISH RESULT 2004 | ||||
9月12日 | ○ | 27−19 | vs ファイニーズフットボールクラブ | |
9月26日 | ○ | 14− 6 | vs 内外電機マーヴィーズ | |
10月 9日 | ○ | 36− 7 | vs アズワンブラックイーグルス | |
10月24日 | ○ | 35− 0 | vs 阪急ブルーインズ | |
11月 6日 | ● | 19−20 | vs 松下電工インパルス | |
FINAL6 | 11月21日 | ● | 7−10 | vs アサヒビールシルバースター |
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