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ライスボウル

 2001年のXリーグ界プレシーズンの話題は、一つのチームに独占された。
 社会人チームの名門・オンワードオークスと、リーグ中堅チームであったすかいらーくスカイラークスの合併により、オンワードスカイラークスが誕生したこと。
 そして元横綱・若乃花関「花田勝選手」のオンワードスカイラークス入団である。

 この日本のトッププロスポーツ・相撲界からの選手の入団は、決定的なスター不足に苦心を続けるXリーグにとって、願ってもない話題となった。
 予想に違わず、それまでは国内の社会人リーグはもとより、アメリカンフットボールそのものにさえ全く無関心であったジャンルのメディアまで巻き込んで、「オンワードスカイラークス」の名は全国的に知られる存在となった。

 そしてこの年に「3年で日本一をねらえるチーム作り」(野田監督)の構想がたてられた。
ディフェンスの守護神・LB時本 (C)MakotoSATO  その2001年春のパールボウルで優勝。合併による最強チームの誕生か、との声もあった。
 しかしアメリカンフットボールのチーム育成には時間がかかる。優秀なアスリートとコーチが集まってから、さらに戦術の徹底がなされて、はじめて完成するものなのだ。
 日々練習に時間を費やすことが出来る学生チームや、本場米国のプロチームならともかく、現在の社会人チームの練習事情から考えての3年だった。

 新チームのリーグ初年度は、リクルートシーガルズ(現:オービックシーガルズ)に土壇場で力負け、アサヒビールシルバースターには、競り負けての3位。課題を探すことに終始したシーズンであった。
 2年目のシーズンは、初戦のシーガルズ戦でつまずくものの、QB小島の活躍でアサヒビールに勝利し、FINAL6へ進出。しかし終了間際の逆転FGで、FINAL6初戦の富士通フロンティアーズに破れてしまう。

 「タレント能力では最強クラス。しかし勝負弱い」。誰ともなくこのチームの印象をそう語った。

 勝負の3年目が来た。
 XリーグEASTは、富士通、アサヒビールと同じ枠。しかもFINAL6出場のためには、この強敵のどちらかを抜き落とす戦いを、早い時期から準備しなければならない。
 日本代表チームW杯2連覇の余韻がまだ残る7月下旬、野田監督は選手全員を集めて誓いを立てた。
 「オンワードスカイラークスを日本一が狙えるチームにするため、最大限の努力をします」。この誓いの言葉に、選手達一人づつが署名した。
 「勝てないのはしょうがない、と思う者はチームを去ってもらっても構わない」。迷っている時間はない、チームを信じてついてこられる人間だけでやっていこう。決意の言葉だった。

 様々なタイミングがひとつとなって結実した年だ。「チーム内の選手が旧オンワード、旧すかいらーく、そして外からの参入者。ちょうど3等分になって絶妙のバランスがとれている」(野田監督)こと。春から計画的なフィジカルトレーニングに重点を置き、チームの肉体改造を行い、シーズン中の負傷者が激減したこと。
 またドイツへのW杯遠征をきっかけに、日本代表のエースQBを担ったQB冨澤が自信を深め、須永オフェンスコーチが、阿部監督をはじめ、深堀コーチ(アサヒビール)や、大橋コーチ(オービックS)、森コーチ(鹿島)といった強豪チームのヘッドコーチらとの親睦の中から、「選手の自由度を活し、実力を発揮できるように伸ばすコーチング術」を体得したこと。
 結果、QB冨澤とそのパスユニットは、須永コーチ自身が持つパッシングのXリーグ記録を塗り替えた。
 リーグ戦第2節でアサヒビールに勝利。最終節では、宿敵・富士通との激しいシーソーゲームを制し、堂々のディビジョン全勝優勝。
 シード権を得て臨んだFINAL6準決勝では、オービックシーガルズ戦を競り勝ち、意気あがるアサヒ飲料チャレンジャーズに、圧倒的な力の差を見せつけ勝利した。

 迎えた決勝のジャパンエックスボウル。対戦相手は、CENTRAL1位の鹿島ディアーズ、WEST1位の松下電工インパルスを、周到な準備と勝負強さで倒したアサヒビールが待ちかまえていた。

 「シンプルにして高精度、そしてタフ」。
 前半、QB冨澤のパスオフェンスがアサヒビールの準備したディフェンスに封じられたとき、自ら志願してエースRBつとめるRB加畑のランと「今年最も成長したポジション」と、野田監督が高く評価するOL陣に、後半のすべてを託した。
 「エースRBは1人が責任を持って最後まで走るもの」(RB加畑)。そう信じて疑わないこの火の玉ランナーは、立て続けのボールキャリーに足に痙攣を起こしながら、それでもまだ「走ります。次、出してください」と訴え続け、チームの心をひとつに燃え上がらせた。

 この弛まない気迫がチーム全体に伝播し、最後まで集中力を途切れさせないディフェンス陣の粘りを生み出し、アサヒビールが準備した逆転のゲームシナリオを打ち砕いたのだ。
 土壇場に弱い、とされたチームの姿はもうそこにはなかった。

 「チャンピオンチームにふさわしい態度。そしてプライドをもって臨んでください」。ジャパンエックスボウル前に、D.リンズヘッドコーチは、チャンピオンチームとしての心構えを選手達に説いたという。
 破れたアサヒビール・阿部監督の表情が「惜しい、悔しい」といったものではなく、勝利したチームへのリスペクトに満ちた穏やかなものであったことも、オンワードスカイラークスがリーグチャンピオンにふさわしいチームであったことを示している。

 全力を尽くして挑んだライスボウルだったが、今季最高のチーム完成度を誇る立命館大学パンサーズに破れた。
 「日本中のチームが立命のフットボールを目に焼き付け、その上を目指すんだ。フットボールはいつも追いかけ合い」と、D.リンズヘッドコーチ。新しいシーズンに向けて、ON−SKYの逆襲が始まる。


FINISH RESULT 2003
   9月15日 45-14 vs 東京ガスクリエイターズ
   9月22日 24- 7 vs アサヒビールシルバースター
  10月 5日 42-13 vs 日産スカイライナーズ
  10月19日 80- 0 vs クラブハスキーズ
  11月 5日 29-23 vs 富士通フロンティアーズ
FINAL6 11月30日 41-17 vs アサヒ飲料チャレンジャーズ
JAPANXBOWL 12月16日 13-10 vs アサヒビールシルバースター
RICEBOWL  1月 3日 16-28 vs 立命館大学パンサーズ