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ライスボウル

試合のみどころ

立命館大学パンサーズ VS 松下電工インパルス
「あけまして日本一」。日本のTOPリーグを決める新春バトル
2005年1月3日(月) Kickoff 14:00 @東京ドーム
 2004年のチャンピオンチームを決める日本選手権「第58回ライスボウル」は3年ぶりの関西対決。チームのライスボウル3連覇、学生代表の4連覇を目指す立命館大学パンサーズと、創部30年となる節目の年に9年ぶりの出場を果たした松下電工インパルスが激突する。

 両者の対戦は、立命大がQB東野(現:アサヒビール)やLB河口(現:アサヒ飲料)らの活躍を軸に、創部41年目の関西学生リーグ初優勝を果たした94年シーズン以来(95年1月3日に対戦)となる。
 この時は松下電工が逆転FGで16−14と僅差の勝利。松下電工にとっても初となる日本一に輝いている。

 21世紀からの国内TOPリーグの座は、関西学生リーグが席巻していることに異論はないだろう。

 近年の甲子園ボウルで繰り広げられる関東学生リーグ代表との歴然とした実力差は周知の通り。
 また01年の関西学院大学の初優勝に始まり、02年03年の立命大連覇と、この新春の大舞台でもXリーグ代表をことごとく破ってきた。

 確かに90年代は、鍛え上げたフィジカル面の強さや試合経験の豊富さで、社会人代表が学生代表を常に圧倒してきた。
 しかし、「充実した環境下で、専任のコーチングスタッフが僕らにない発想でチームを創ってくる」(松下電工・村上監督)立命大に代表されるように、ゲームに向けての事前準備がチームの強さを左右するフットボールという競技は、練習時間の限られた社会人チームにとって不利な面もある。

 今回のマッチアップは、そのような国内フットボール勢力図を推し量る意味で興味深い。

 今季の立命大は、ライスボウル2連覇の牽引車となったQB高田(現:立命大コーチ)とWR冷水(現:オール三菱)のホットラインを失った以上に「今年の春から着手したまだ1年目のチーム」(立命大・古橋ヘッドコーチ)なのだ。
 日本フットボール界のサラブレッドQB池野が、この春から初めて指揮するショットガンオフェンスは、急速な成長を果たし、関学大との二度にもわたる死闘を経て、自らのスタイルを確立しつつある。

 「毎年ライスボウルで勝てるチームを作りたい」(立命大・平井総監督)と、いま国内で最も充実しているであろうBKC(びわこくさつキャンパス)のチーム育成プログラムが目指す、立命フットボールを体現したチームともいえよう。

松下電工DB小路 (C)Makoto SATO  対する松下電工は、このところ所属チームのクラブチーム化が顕著なXリーグにあって、少数派となりつつある実業団チームの象徴的な存在。
 「ウチに就職を希望する学生にとって、いつまでも憧れのチームであり続けたい」(就任当時の村上監督)と、企業のCIスポーツとしてこの競技の本格強化に取り組んできた。

 チーム作りは「主力メンバーが高齢化して、いまが最後のピーク」(村上監督)と半ば冗談交じりでいうように、息の長いチーム熟成を行ってきた。

 前述のライスボウル初制覇時にMVPを獲得したRB粳田やオールジャパンDL脇坂は、いまでも最前線で磨きの掛かった円熟のプレーを見せる。
 企業スポーツらしく、じっくりと少しづつ行ってきた新人補強が「OL藏谷選手(元関学大・主将OL)の加入で完成した」(立命・古橋ヘッド)。

 「社会人になってまでフットボールを続けている以上、もう負けるわけにはいかない」と、必勝を誓う松下電工の主将RB荒木。
 今季の松下電工は、経験豊かなオールジャパン級プレーヤーと、蓄えてきた新人補強の戦力が絶妙の頃合いで交わり、非常にバランスのいいチームに仕上がっている。

立命WR木下 (C)Makoto SATO  見どころは、立命大オフェンスと松下電工ディフェンスのマッチアップ。それぞれのチームフィロソフィが生み出した最も象徴的なユニット同士の対決が試合の行方を握る。
 いまの立命大OL陣と松下電工DL陣では、恐らく松下電工フロントがオーバーパワーするであろう。
 逆にその様な状況になると、「1秒でも余分にボールを持たせたくない」と、関学大の小野オフェンスコーチに言わしめた立命大バックス陣の真価が発揮される。

 注目しておきたい選手は、甲子園ボウルに先立って行われたNFLヨーロッパのテスティングコンパインに一発合格した立命大エースWR木下。「泣く子も黙る木下君」と、村上監督からも名指しで警戒されるスーパーアスリートだ。
 立命大が輩出した歴代DBでも屈指の能力を持つ松下電工DB小路との直接対決も、このゲームの見どころの一つ。

 「(小路さんは)とてもかなわない存在だった」と、WR木下。立命大では2年先輩にあたるDB小路とは、同じチーム内で練習をしてきた間柄だ。「小路さんを破るにはどうしたらいいかを目標に練習してきた。その成果を見て欲しい」と、先輩に“恩返し”の挑戦だ。

 「僕らにとってこのチームで最後の試合。やってきたことを全て出して、いいプレーをしたい」と立命大の主将RB/K岸野。
 奇しくも、現在のXリーグ体制初年度の96年。Xリーグが開幕イベントとして東京ドームで行った「フィールドゴールコンテスト」決勝で優勝した中学生(当時)がこの岸野だ。「そのときの2位が伸(QB池野)だったんですよ」と、岸野はふり返る。

 Ten Years After。松下電工の初の日本一から10年、立命大フットボールがBKCに本拠地移転してからも10年。ドッグイヤー、マウスイヤーと呼ばれ、とかくサイクルの早い現代社会の中で繰り広げられる10年目の壮大なリターンマッチ。

 XリーグがTOPリーグの座を奪回するのか。関西学生リーグが揺るがぬ4連覇を果たすのか。
 リーグに所属する全てのチームの誇りを携えて、2004年シーズン最後のビッグゲームが、新春の東京ドームで決戦の時を迎える。